2021-01-30

トヨタや日産、VWなど半導体不足で自動車メーカーが減産に

150万台に及ぶとの観測も

 1月中旬から半導体の不足で世界中の自動車メーカーが減産に追い込まれている。「米国と中国の復調を足掛かりに、巻き返しに向けて『さあ、これから』というときだったのに……」と関係者は嘆声をあげる。

 トヨタ自動車は米テキサス州の工場でピックアップトラック「タンドラ」を減産。日産自動車は追浜工場で主力小型車「ノート」の減産を余儀なくされている。ホンダも北米や鈴鹿製作所での減産を明らかにした。

 日系メーカーのみならず、フォルクスワーゲンやフォード・モーター、フィアット・クライスラー・オートモービルズも減産に陥るなど影響は広がる。

「昨年コロナで自動車メーカーが減産して半導体の受注が減少したところに、思わぬ形でゲームやパソコンの巣籠もり需要が発生。車用の生産に回らなくなってしまった。いま急に作れと言われても対応できない。今後、自動運転やEV(電気自動車)が増えればもっと半導体の奪い合いが進むことが予想されるだけに、各社の確保策が問われるだろう」(電機業界関係者)

 一般的にガソリン車1台当たり半導体は約30個搭載される。だが、EVや高級車になると搭載数は一気に3倍弱に増える。奇しくもクルマの高度化に伴う歪が現れた格好だ。半導体不足で、世界の自動車メーカーで150万台前後の減産につながる可能性があるとも言われる。

 自動車メーカーは自然災害などで一部の部品の供給が停止し、生産が止まった事例を何度も経験してきたが、「半導体は業界を跨ぐ製品であるだけに異質だ」(自動車会社関係者)

 コロナによる直接の影響が収まっていない中での新たな不安要素の出現で、自動車業界の先行きに更に不透明感が増している。

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