2021-02-02

石油元売りトップ ENEOS・大田勝幸社長が激白! 脱炭素化時代の新事業創造

大田勝幸・ENEOSホールディングス社長

再エネや水素で新事業創出を目指す!



 ── ENEOSホールディングス社長の大田勝幸さん、石油元売りトップとしてコロナ禍の影響をどう考えますか。

 大田 当社は石油需要が構造的に減っていくという見通しのもと、2040年を見据えた長期ビジョンを発表していますが、今回のコロナ禍で、それに拍車がかかる可能性があると感じました。構造改革の方向性は変える必要はないと思いますが、よりスピード感をもって意思決定や施策を実行していかなければならないと考えています。

 一方で、我々のサービスステーションや製油所は生活に必要なエネルギーを供給していますので、営業・操業を止めてはいけないという社会的使命を担っていることも改めて認識しました。

 ── 昨年6月の社長就任から約半年経っての手応えは?

 大田 環境問題やデジタル化に伴って、会社も大きく変わらなければならないタイミングでの社長就任でしたから、非常に責任は重いと感じています。

 私がやるべきことは大きく二つあって、一つは新たな取り組みの推進です。再生可能エネルギーやCO2フリーの水素などの次世代エネルギーの開発を進めていますし、VPP(仮想発電所)による地域での新しいエネルギー・プラットフォームの構築に向けて、静岡や東村山などで自治体との連携を始めています。また、全国にあるサービスステーションを地域の生活拠点として活用しようとコインランドリーやカーシェア、カーリースなどの新事業にも取り組んでいます。

 もう一つは、石油精製や銅の精錬などの基盤事業の競争力をさらに高めていくことです。昨年10月に大阪製油所の精製機能を停止し、21年10月を目途に石油化学製品を手がける愛知・知多製造所の製造を停止することも決めました。

 両方とも、やるべきことは着実にやってきたという手応えは感じています。

 ── それと菅義偉首相は「2050年に実質CO2排出ゼロを目指す」と宣言しましたが、ENEOSとしてはこの目標にどう向き合いますか。

 大田 当社は石油を扱っていますので、CO2に対して責任を持たなくてはならないと認識しています。その認識の下、当社は昨年5月に、2040年に自社が排出するCO2をカーボンニュートラルにするという目標を公表しました。

 これには、石油が減ることを恐れるのではなく、環境のことを考えることが新しいビジネスチャンスでもあるという戦略的な意味合いもあります。例えば、CO2フリーの水素を海外から運んでくることになれば、我々が持つ船舶や貯蔵タンクがインフラとして活用できることは強みになります。技術革新を通して、再生可能エネルギーや水素の分野などで新しいビジネスを創造し、低炭素社会の形成に貢献していこうと考えています。

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