2021-02-03

経団連・中西宏明会長が語る「バイデン政権誕生と日本企業の役割」

中西宏明・日本経済団体連合会会長

未来を自ら創り出していく気概が求められる



 ── 今は経済人の使命と役割が問われています。日本経済団体連合会会長の中西宏明さん、日本は菅政権が発足し、米国では新政権が誕生する中で、日本の役割をどう考えますか。

 中西 バイデンさんは、同盟国との協調を重視する姿勢を示しており、従来の米国の基本的な考え方を踏襲する、「きちんと話ができる」方だと思います。対中政策についても、トランプ大統領とは異なるアプローチをとるのではないでしょうか。

 我々経済界も、政府と連携しながら新政権と新たな関係を多面的に構築していきたいと思っています。アフターコロナの世界では、志を同じくする国々が地球環境や感染症といったグローバルな課題の解決を目指して連携することが求められます。日本は「Society 5.0 for SDGs」を掲げて、こうしたグローバルな連携を主導すべきです。

 ── 経団連は昨年、『。新成長戦略』を公表しましたね。

 中西 タイトルの最初の「。」は、従来の成長戦略の路線に一旦、終止符を打って、新機軸を打ち出すぞという意気込みを示しています。何が新しいかというと、コロナを機に資本主義のサステイナビリティが真剣に問われていることを踏まえ、企業がそこにいかに貢献するかを議論の出発点としました。

 その上で、未来に向けてやらなければならないことは、コロナ以前と以後で実はそんなに変わっていない。DX(デジタルトランスフォーメーション)、働き方改革、地方創生……。これまでも繰り返し必要性が言われてきたことばかりです。

 ただ、コロナによって課題の深刻さが浮き彫りになり、加速化が求められるようになった。そこで2030年に目指すべき未来像を描いた上で、逆算して今すぐやるべきことを実行していきます。

 ── 改めて、コロナのような危機の時代に、経営トップに求められることは何ですか。

 中西 このような事態を、1年前には誰も予測できなかったと思います。まさに不確実性の時代と言えます。

他方、コロナ禍でDXの遅れなど課題が浮き彫りになり、一気に加速させるチャンスでもあります。危機の最中から、ニューノーマル、そしてその先のアフターコロナの経済社会の在り方を見据えて、いち早く新しいビジネスモデルを打ち立てた者が次の時代を制することができます。

 経営トップには、変化にひるまず、変化を恐れず、むしろ変化をチャンスととらえて、不確実な未来を予測しようとするのではなく、未来を自ら創り出していく気概が求められるのではないでしょうか。

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