2021-02-05

アサヒGHD・小路明善社長兼CEO「30年後の社会を予測し、社会の変化に対応した事業構成を」

小路明善・アサヒグループホールディングス社長兼CEO

は、CO₂削減などの環境対応も重要です。

 小路 はい。例えば当社には工場排水から出るメタンガスを特殊な処理を施すことで電気エネルギーに変えて蓄電する技術を持っています。今は自社工場で実証実験しているのですが、将来的には自社のみならず、すべての企業にこの技術を供与し、活用していただければと考えています。

 そして、理想的には化石燃料エネルギーや重油を使うという形ではなくて、間伐材を利用したバイオマス発電、風力発電による電気といったグリーンエネルギーを広げていかなければならないと思っています。


ビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業において、アサヒビール茨城工場で導入されている固体酸化物形燃料電池「MEGAMIE(メガミー)」

 当社では『スーパードライ』などの缶製品については、早くからグリーンエネルギーでの製造に切り換えてきました。缶に「g」というマークを入れてあるのですが、これがグリーンエネルギーでの製造を表しているんです。

 では、このグリーンエネルギーを使うということがどういうことかと言うと、製造工程の一部で重油を使っているのですが、その分を水力、風力、太陽光から電気を買って相殺し、結果的に全ての電力を買った部分で賄うということです。

 ─ これはいつ頃から始めていたのですか。

 小路 09年4月からで私が環境担当役員に就いているときでした。

 ─ ESG経営ですね。

 小路 そうですね。これからの時代は、ESGを経営戦略の大きな柱に掲げていかないと、投資家からの評価を得ることはできませんからね。

 昨年10月には日本の食品業界で初めてとなる「グリーンボンド」を発行しました。発行年限は5年、発行額は100億円を予定していますが、リサイクルペットボトルの調達やバイオマスプラスチックの調達、再生可能エネルギーの購入、社有林「アサヒの森」の維持などに充当していく予定です。

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