2023-02-04

【アサヒグループホールディングス・小路明善会長に直撃!】「お酒は、人と人の絆を強くする!」

小路明善 アサヒグループホールディングス会長

─ エネルギーの価格上昇が懸念されます。アサヒグループホールディングス会長の小路明善さん、食料品についても原材料高が続く中ですが、22年も厳しい状況が続きましたね。 

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 小路 ええ。食品メーカーは輸入原料が大半です。22年、われわれは当初400億円のコスト増と見ていましたが、それが600億円になり、直近では800億円にまでなりました。これは事業利益の約3割にあたり、過去の歴史にないくらいのコスト増に見舞われた1年でした。供給網の混乱と円安が原因です。 

 また、コロナ禍によって引き続き非常に厳しい状況が続いていますが、お酒は生活必需品ではないけれども生活必「潤」品だということを改めて認識しました。 

 厳しい状況下にあっても、世界のアルコール消費を見ると、堅調に推移しています。家で飲む人、仲間同士で近くのレストランで飲むなど、やはりアルコールはコミュニケーションを活発にするツールだと実感します。 

 ─ そうした中、23年以降、事業をどう進めていきますか。 

 小路 アルコールビジネスは「ウェルビーイングバリュー」を追求していかなければならないと考えています。経済的、社会的、肉体的に満足した状況がウェルビーイングと言われますが、一定量のアルコールが、満足の一因になると考えています。特に人と人の絆を強くするツールだと思うからです。 

 また、われわれは「ファンクショナル」「エモーショナル」「エクスペリエンス」の3つのバリューを追求しています。 

 ファンクショナルは「糖質ゼロ」などの機能性商品、エモーショナルは例えば「スーパードライ」の洗練された都会的な味といった情緒的部分、そしてエクスペリエンスは20年に発売した「生ジョッキ缶」という蓋を開けると泡が出る商品です。 

 これらに加えて、人々の幸福に資するのがアルコールビジネスであり、われわれは今後も、それを追求していきます。 

 ─ 日本の課題である賃上げ、そして企業の新たな価格体系づくりへの考え方は? 

 小路 これは生産性の向上と、適正価格取引への転換が重要になってきます。これによって賃上げを導き出し、成長して分配をする。これは「卵が先か、鶏が先か」でなく、日本はどちらもやらなければいけません。 

 また、賃上げは、その恒常的な問題について労使でしっかり話し合いをしなければなりません。大手を中心に「ジョブ型」に移行する中、これに対する認識を労使で1つにする必要があります。そして、高齢層の希望者に対する雇用確保が努力義務となりましたから、このリカレント・リスキリングも企業の責任です。

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