2021-02-07

日本経済の先行きを占う、日銀の政策点検の行方

日本銀行本店

日銀が金融緩和策の点検作業に着手している。点検の結果を3月の金融政策決定会合後に公表するが、注目は銀行への追加支援策と日銀が日本企業の最大株主である現状の見直し。

 幹部は「2016年のような抜本的な政策変更は想定していない。『検証』ではなく『点検』としたのもそのためだ」と強調。市場で「次の一手」への過度な思惑が広がらないように牽制。

 だが、投資家の間では超低金利が銀行経営に与える打撃を和らげるための追加策や、相場を歪めていると批判が強い上場投資信託(ETF)の買い入れ手法の見直しなどが取りざたされている。

 ETF購入を通じた日銀の株式保有残高は45兆円を超え、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を上回り、日本企業の最大の株主になったとみられる。日銀が事実上、筆頭株主の上場企業はキヤノンなど100社を超えるとされ、「モノ言わぬ大株主」の存在感の膨張には「企業統治改革の流れに逆行する」との批判もある。

 もうひとつの焦点は銀行や生命保険などの収益悪化に歯止めをかける追加策の行方。日銀は昨年11月、経営統合を含む抜本的な効率化に取り組む地銀の当座預金に年0・1%の金利を上乗せする支援策を決めた。「金融システム安定化策」(担当理事)との位置付けだが、「中央銀行の矩を超える事実上の補助金政策」(有力OB)にまで乗り出した背景に、超低金利政策の長期化に伴う副作用を是正する狙いがあるのは明白。

 また、脱炭素化やデジタル化など菅義偉政権の成長戦略と連動した新たな資金供給策の導入観測も出る。金融政策の修正は日本経済の先行きや株価・為替動向に影響しかねないだけに、手綱さばきは極めて難しそうだ。

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