2021-02-10

「ロビンフッド問題」は〝他山の石〟 証券市場を揺るがせたSNS米・レディット

個人投資家対ヘッジファンド


 ネット取引急増時代の規制のあり方は─。

 2021年1月、米国の株式市場が個人投資家の〝投機〟的動きに翻弄された。その舞台となったのはスマートフォン専用証券会社・ロビンフッド・マーケッツと、米国で人気のSNS・投稿サイトであるレディットだ。

 一部の個人投資家がレディット上で、ヘッジファンドが空売りをかけていた米ゲーム販売店・ゲームストップ社の買いを煽った。結果、一時は米アップルを上回る買い注文が殺到、空売りをかけていたファンドが買い戻しを迫られて、損失を被った可能性がある。

 だが、1月28日にSNSに参加していた多くの個人投資家が利用していたロビンフッドが、ゲームストップ社など一部の銘柄の取引を制限。この事態に、米テスラCEO(最高経営責任者)のイーロン・マスク氏が音声SNS上で苦言を呈するという一幕もあった。

 ロビンフッドが取引制限をした理由は、清算機関への預託金を預ける必要に迫られたから。売買高の急増に対応する預託金が用意できなかったようだ。財務基盤の弱いプレーヤーが株式市場を大きく動かしている点に、ネット時代の危うさがある。

 13年設立のロビンフッドは取引手数料無料、1㌦から取引可能という手軽さ、アプリの使いやすさで人気となり、口座開設数は1300万以上。

 収益の柱は自社の顧客の注文を、HFT(高頻度取引会社)に回送することで受け取るリベート。このビジネスモデルには危うさがあるという指摘は以前からあった上、システム障害を引き起こすなど、規制当局から睨まれる存在でもあった。

 この事態への見方は市場関係者の中でも分かれる。あるストラテジストは「一時的な乱高下はあっても、大きな暴落にはつながらない」とする。ただ、06年に日本で、マネックス証券が当時家宅捜索が入っていたライブドアの株式の信用担保能力の評価をゼロとすると決めたことで相場が崩れた経緯もある。1銘柄の動きが市場全体に波及する恐れは常につきまとう。

 コロナ禍の中で上昇を続けてきた株式市場への警鐘と言える。

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