2023-02-10

日本電産が業績を下方修正 前社長の関氏は協業先の鴻海に

今年で創業50周年を迎える日本電産・永守氏の変革への挑戦は続く

「会社を創業して50年が経ち、いろいろ小さな垢が溜まっている。前経営陣や外部から来られた方々が好き放題の経営で負の遺産をつくって去っていった。いろいろなゴミを全部今期中にきれいにする」。こう語るのは、日本電産会長の永守重信氏。

 日本電産が今期(2023年3月期)の連結業績予想を修正。売上高は上方修正したものの、営業利益は下方修正。営業利益率は5%と、永守氏がかねてから〝最低限〟としてきた営業利益率2ケタに及ばない見通しだ。

 世界全域における家電分野を中心としたコロナ特需の喪失に加え、中国のロックダウンにより車載向けの需要が減少。成長の牽引役だった車載事業は第3四半期(22年10―12月期)に80億円の営業赤字となった。

 このため「足元の市場環境悪化に伴い、抜本的な収益構造改革に取り組んでいる。23年度のV字回復実現を目指して、固定費の大幅な低減を図る予定」(常務執行役員の佐村彰宣氏)だ。

 昨年9月に日産自動車出身で前社長の関潤氏が辞任し、創業時から永守氏を支えてきた小部博志氏を社長とする新体制となった日本電産。しかし、決算発表の記者会見で関氏に対する永守氏の怒りは収まらない。

「前経営陣は物事の処理が遅い。客先には行かない。工場にも出向かないということで、いろいろな問題を半年も、1年も放置すれば、どんなものでも腐って、治すことができない状況に陥る。それが今回大きな損害を出した主因」とした。

 その関氏は、2月から台湾の鴻海精密工業に移籍する。鴻海は近年、EV(電気自動車)を新たな事業の柱に育成しようとしており、関氏に白羽の矢が立った形。鴻海は日本電産とEV向けモーターの生産などで協業しており、今後は両社の関係も微妙なものになりそうだ。

 今年4月には創業50周年を迎える日本電産。永守氏は今度こそ後継者問題に区切りをつけ、同社を次なる成長ステージに導くことはできるか。厳しい環境下にあって、会長の責任を問う声も出ており、永守氏の次の一手に注目が集まっている。

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