2021-02-11

【化学】東洋紡次期社長に常務の竹内氏「現場主役の経営を目指す」

東洋紡次期社長・竹内郁夫氏

最優先事項は「防災・安全、品質保証体制の強化」

 東洋紡は4月1日付で次期社長に取締役兼常務執行役員の竹内郁夫氏が就任する。楢原誠慈氏は取締役会長に就任する。
 次期社長に内定した竹内氏は「経営者として『現場が主役』と考える。現場、ひいては全従業員が安全に安心して働くことができ、自らの仕事が世の中の課題解決に貢献し、誇りとやりがいを持てる会社を目指していく」と語る。
 楢原氏は竹内氏のことを「オールラウンダーで人望も厚い人物」と語る。かつて、経営企画室で現在の主力事業であるフィルム事業育成のため、共に汗を流した経験からの評価だ。
 竹内氏は1962年生まれの58歳、85年神戸大学経済学部卒業後、東洋紡入社。繊維の営業からスタートし、主に経営企画室で構造改革から事業の成長まで幅広い経験を積んできた。
 2014年経営企画室長、17年グローバル推進部勤務およびTOYOBO CHINA に出向。18年執行役員、20年4月常務、同年6月取締役兼常務に就任した。
 食品に使われる包装用フィルムや液晶ディスプレーに使われるフィルムが好調で、コロナ禍でも前期並み業績を見込む同社だが、竹内氏が会見で強調したのは〝危機感〟だ。
 東洋紡は昨年、犬山工場(愛知県)での火災、品質不正問題を起こしているからだ。
「メーカーとしての信頼が揺るぎかねない状況にあるとの危機感を抱いている。財務は安定性が高まり、フィルム事業も伸長しているが、売上、営業利益とも過去10年、停滞していると言わざるを得ない」と語る。
 そこで最優先事項として掲げたのが「防災・安全、品質保証体制という事業基盤の再構築と強化」。次に「事業ポートフォリオを見直し、重点分野への投資で成長を加速」、そして「中長期の視点から未来への仕込みをしていく」という。
 22年3月期で現中計が終わり、21年は新中計に向けて動き出すタイミング。「『変化を恐れず、変化を楽しみ、変化をつくる』をモットーに取り組んでいきたい」と意欲を語る。

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