2023-05-29

リートの立ち上げなどを実践 【東急】次期社長に堀江常務執行役員

東急社長の髙橋和夫氏(左)と次期社長の堀江正博氏

輸送人員はコロナ前に戻らない

「沿線にコミットして逃げない。鉄道やバス事業の安定のために不動産事業で何ができるか考えていく」─。6月29日付で東急次期社長に就任する常務執行役員の堀江正博氏(61)はこう語る。会長の野本弘文氏(75)が留任し、現社長の髙橋和夫氏(66)は副会長に就く。

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 堀江氏は野本氏と同じ福岡県生まれで慶應義塾大学法学部卒業後、東京急行電鉄(現東急)に入社。沿線の都市開発をはじめ、海外のホテル運営会社への出向、財務、不動産投資信託(リート)の立ち上げ、小売り、不動産、ホテルなど様々な業務に携わった。一方で一度も経験したことがなかったのが鉄道事業。その点も野本氏と共通する。

 あるOBは「1990年代後半に財務部門で有利子負債の圧縮に動いた。慎重に足元を見ながら仕事をするタイプだ」と語る。会社人生の半分を子会社で過ごした堀江氏だが、髙橋氏は「行動力がある」と評する。直近でも昨年11月に長野県白馬村の「白馬東急ホテル」に足を運び、客室の眺望を損なっていた67本の庭木を伐採し、客室から見える景観を改善した。

 コロナ禍で苦境が続いたが、2024年3月期の売上高は1兆306億円、純利益400億円と増収増益を見込む。だが鉄道の輸送人員は10.1億人とコロナ前の9割弱の水準。「コロナ前には戻らない」という前提に立つからこそ、拠点・渋谷に代表される再開発などの不動産が収益の多くを占めることになる。

「向こう傷は男の勲章」─。堀江氏の入社当時の同社社長・五島昇氏の言葉を大事にする。「前を見てチャレンジする」ことを若い社員と実践し、様々な事業を持つ「クリエーティブなDNAがある」というグループの強みを発揮できるか試される。

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