2021-02-26

日経平均が3万円を回復、警戒しながらの株価上昇

ネットの中のバブル?


「物価や地価が上昇するような、1980年代的なバブルはないのではないか」と指摘するのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。

2021年2月15日、日経平均株価は終値で3万84円と、実に30年半ぶりに3万円を回復した。米国のバイデン政権による財政支援策や、新型コロナウイルスのワクチンの接種が進み始めたことを好感したとされる。

これを受けて、大和証券グループ本社社長の中田誠司氏は「日本経済の成長軌道入りを示唆する象徴的な出来事。直近の株価上昇スピードには警戒感を指摘する声もあるが、コロナ後の企業業績の大幅回復期待と、米FRB(連邦準備制度理事会)が主導する金融緩和が当面、併存することを考えると、まだ割高感はない」とコメント。

第一生命経済研究所の熊野氏によると、マネーストック自体がかつてのバブル並みになっている。ただ、当時のように極端な地価上昇などのバブル的状況は見られない。

一方で熊野氏は「ネットの中のバブルが起きている」と指摘。象徴的なのはビットコイン。1年で6倍以上の価格上昇だが、それ以上にビットコイン以外の暗号資産にも資金が流入していると見られる。

さらに、米国ではすでに個人投資家の投資が活発だが、日本でも20代、30代が株式市場に参入して利益を上げており「資産効果が見えないところで起きている」(熊野氏)。

そのため、交通、飲食、エンタテインメントを中心に企業業績が厳しくなるなど、実体経済と株価に乖離が見られる。世界的な金余りと、日本における日本銀行のETF(上場投資信託)買いといった下支えがあることも、その要因となっている。

今後のリスクに関して、野村ホールディングスグループCEO(最高経営責任者)の奥田健太郎氏は「世界的低金利に支えられている面や、米中関係の行方など不確定要素も多い」とコメント。金利が上昇し、FRBが引き締めに動けば、株式市場が崩れる恐れはある。

しかし、株式市場で「高所恐怖症」という言葉が言われるように、かつてのバブル崩壊の経験から皆、警戒しながら動いている。これが今後の株価の動きをどう左右するか。

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