2021-03-09

規制・構造改革に身を投じて約20年 フューチャー会長兼社長・金丸恭文の「国の制度設計にアーキテクチャーを!」


『つなぐ』ことでイノベーションを!

 産業界にも、また大学や農業界にも問題は山積している。その問題の根源とは何かを突き詰め、知恵を振りしぼって、ソリューション(解決策)を見つけ出すという営み。デジタルトランスフォーメーション(DX)を活用しての改革の必要性を30数年前、鈴木、渡両氏と若き金丸氏は共有していたということだ。

 金丸氏は創業以来、ITを使って既存産業の業務効率化、生産性向上に努めながら、規制改革・構造改革に関する政府の各種審議会に参画。「損得の話ではないので」とは本人の弁。

 先人から受けた恩を返すべく、若い起業家と既存産業をつなぐ役回りを今は担う。それにしても、日本は『つなぐ』という考え方が弱いのではないかと金丸氏は規制改革・構造改革の作業にたずさわりながら感じるという。

「わたしが30歳のとき、1985年に電電公社が民営化で、通信の自由化が起きた。今ごろDXと言っていますが、あのときに通信が自由化されたので、コンピューターと通信が完全に民の世界になった。それまで通信は公(官)の世界だったけど、あの頃からハードウェアとソフトウェアと通信の組み合わせという社会改革が起きた。企業にも世界にも新しいプレーヤーが登場した。日本は、そのときもつながらなかった。昔は、インターネットはなかったけれども、通信機能が出たのだから、自分が持っている機械とか通信機能を付ければ付加価値が高まったのに、それを怠った」

『つなぐ』ということで、それこそオープン・イノベーションが起きる。

 海外諸国と比べ、投資意欲が少ないとか、新しいことへのチャレンジが少ないと言われ続けてきた日本。コロナ危機とデジタル革命が併存する中で、改めて産・官・学共に意識変革と実行力が問われている。

本誌主幹・村田博文

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事