2021-03-11

経団連に初の女性副会長誕生 DeNAの南場会長が就任へ

中西宏明・経団連会長

経団連の新任副会長にIT大手ディー・エヌ・エー(DeNA)の南場智子会長(58)が就任することになった。1946年の経団連設立以来、初の女性副会長の誕生となる。日本を代表する女性IT経営者の起用で、ダイバーシティーの推進を広くアピールする。

 南場氏は津田塾大を卒業後、米系コンサルティング会社に入社。ハーバード大でMBAを取得し、1999年にDeNAを設立した。2015年には横浜DeNAベイスターズのオーナーになるなど多方面で活躍中。政府の役職経験も豊富で、菅政権下では成長戦略会議のメンバーを務める。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長を辞任した森喜朗氏の後任候補にも一時浮上したほどだ。

 経団連は以前からたびたび秋波を送ってきたが、南場氏は断ってきた。ただ、DeNAが2月、総務省出身者が社長兼最高経営責任者に昇格する人事を決定し、副会長職を受け入れる余裕ができたものとみられる。

 経団連が女性起用にこだわったのも理由がある。

 現在、政府への提言など実質的な活動を担う会長および18人の副会長は全員が男性だ。女性活躍推進を掲げながら、いつまでも老舗企業の男性経営者だけでは古い体質を批判されても仕方がない。昨秋には企業の女性役員比率を2030年までに30%以上にすると提言したばかり。その直後の自らの人事とあって、南場氏の受諾に中西宏明会長以下、経団連関係者も胸を撫で下ろしている。

 その中西会長にとって、6月に始まる2021年事業年度はラストイヤーだ。中西氏はリンパ腫の治療のために昨年夏から入院しており、テレビ会議を通じて業務を遂行している。コロナ禍に隠れ、不在もあまり目立たずにきたが、最大のミッションである次期会長の人選は待ったなしだ。

 これまでほぼ製造業出身者が占めてきた会長職。多様性の観点から初の女性副会長誕生がどういう影響を及ぼすかが注目される。

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