2021-03-12

みずほ銀行が3度目のシステム障害 ATMからカード、通帳が戻らず

みずほ銀行の会見の様子

新システムを構築したが…


「なかなか電話がつながらなかったり、人がすぐに駆けつけなかったことで、お客様に大変つらい思いをさせてしまったことをお詫び申し上げます」と話すのは、みずほ銀行頭取の藤原弘治氏。

 2021年2月28日日曜日、みずほ銀行の顧客がATM(現金自動預払機)で取引をしようとクレジットカードや通帳を入れたところ、戻ってこないという現象が起きた。備え付けの緊急電話もつながらず、途方に暮れる事態が相次いだ。

 この日に行われていたのは不稼働の定期預金データの移行作業45万件と、定期預金の月末更新15万件の計70万件の処理。だが、この処理によってデータを処理している領域のメモリ不足が発生、ATMとインターネットバンキングの取引が行えなくなった。

 みずほ銀行の新勘定系システム「MINORI」は、システム全体への影響を避ける意味もあって全てのATM取引を「異常取引」と認知し、同行の全ATM5891台のうち、ピーク時で4318台が使えなくなってしまった。店舗内外の全てのATMが復旧したのは3月1日午後3時。

 実は障害前日の土曜日にも同様の処理が行われたが、この時は計60万件。10万件の差で障害が発生したということ。藤原氏は「過去の教訓を生かしてシステムを刷新したが、運用上の問題が残っていた」と話す。

 みずほ銀行は発足直後の02年、東日本大震災発生の11年と2度のシステム障害を起こした。旧行のシステムをつなぐなどして使っていたことも障害の要因だったため、4000億円以上を投じて、次世代システム「MINORI」を構築。

 だが、今回はシステムそのものではなく、運用面や障害発生後の対応など「人」の問題がまだ解消されていないことが浮き彫りになった。

 市場関係者は「ネット銀行やフィンテックの台頭で、今は積極的にメガバンクを選ぶ必要がなくなりつつある。その変化の中でみずほは自ら選ばれない理由をつくってしまった」と指摘。

 みずほ銀行はさらに詳細な原因究明と再発防止策を実施していくが、3度目となるシステム障害。信頼回復の道は険しい。

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