2021-03-13

野村証券社長をCEOの奥田氏が兼務、資産運用部門などを組織再編

奥田健太郎・野村ホールディングスグループCEO

野村証券社長の森田氏は日証協会長に就任予定


「階層を減らして、スピード感を持って実行していくことが狙い」と話すのは、野村ホールディングスの関係者。

 野村HDは6月からグループCEO(最高経営責任者)の奥田健太郎氏が野村證券社長を兼務する人事を発表した。野村證券社長の森田敏夫氏は日本証券業協会の次期会長候補となっており、7月1日付で就任予定。

 近年は持ち株会社と事業会社の社長の兼務を解消する動きが目立つが、冒頭のコメントにあるように今回はトップを一本化してスピード感を重視。そして奥田氏を実務面で支えるために野村證券副社長を4人に増員。

 さらに、4月1日付で運用を担うアセットマネジメント部門と、自己投資を担うマーチャントバンキング部門を廃止した上で再編し、新たに「インベストメント・マネジメント部門」を設置する。インベストメント・マネジメント部門長には執行役員の南村芳寛氏が就く他、野村アセット社長には副社長の小池広靖氏が昇格、社長の中川順子氏は会長に就く。

 奥田氏はCEO就任後、「パブリックからプライベートへ」という戦略を掲げ、プライベートエクイティファンド(未公開株式に投資するファンド)、プライベートデット(投資家から集めたお金をローンの形で貸し出すファンド)、私募の投資信託などの領域に注力することを表明。投資対象の拡大や運用の高度化などを進める必要があるが、今回の組織再編はこれを加速させる狙いがある。

 かつての証券会社は個人を上回る情報量で株式や債券を販売してきたが、今はインターネットの普及で、個人投資家でも多くの情報を得ることができる時代。そのため運用や非上場領域への投資といった、他にない情報を武器にできる領域を強化する必要がある。例えば野村のアナリストは上場企業だけでなく、非上場企業やプライベートエクイティの投資先の分析もしているが、一般には公開されていない。こうした公開されていない情報などを生かしていく。

 世界的な低金利で金融機関は稼ぐ方法を模索しており、運用、自己投資の巧拙が業績を左右することになりそうだ。

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