2021-03-15

ライバルはアップル、ソニー? なぜ出光が電気自動車なのか?

出光が電気自動車に参入する時代になった

軽自動車よりも手軽 自転車よりも快適



「自転車や原付きバイクより安全で、軽自動車より手軽なモビリティへのニーズが高いことを確認した。その潜在需要は年間100万台にのぼると想定している。現在はエネルギーとモビリティの大きな変革期に直面している。既存のエネルギーの安定供給を社会的使命としてしっかり果たしながら、先への変革を図っていく」

 こう語るのは、出光興産社長の木藤俊一氏。

 石油元売り大手の出光興産が電気自動車(EV)の開発に乗り出す。4人乗りだが、全長2・5㍍、幅1・3㍍、高さ1・8㍍の超小型EV。最高速度は時速60㌔㍍、フル充電で走行距離120㌔㍍を想定している。

 出光は、競技用自動車やEVの企画・設計・製造を行うタジマモーターコーポレーションと提携。4月に両社の共同出資会社を立ち上げ、出光が持つ素材開発技術やタジマの車両設計技術を融合し、今年10月に新型車両を発表する方針。来年の販売を目指しており、価格は1台150万円以下にしたい考え。

 今回開発する超小型EVのコンセプトは、“軽自動車よりも手軽で軽快。自転車よりも快適。原付よりも安全、雨風をしのげる”というもの。

 既存の軽自動車よりも一回り小さく小回りが利くため、運転の不安を感じている高齢者層や運転に不慣れな層にも安心して利用できるとしている。こうした層を中心に、両社は年間100万台相当の新たな需要が生まれると考えているようだ。

 EV販売にあたって重要な拠点となるのが、全国に約6400あるガソリンスタンド(サービスステーション、以下SS)ネットワーク。

 今後はカーシェアリングや定額で利用可能なサブスクリプションなどのサービスや、自由化で始まった電力販売とEVを組み合わせた新たなサービスの開発も検討しており、SSを起点としたモビリティサービスを広げようとしている。

「SSのネットワークが果たす役割はさらに重要になってくる。SSは従来の石油製品だけでなく、次世代燃料の提供やEVの充電や水素充填の拠点となり、地域エネルギーのアグリゲーター(仲介役)としての役割を担っていくと考えている」(木藤氏)

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