2021-03-17

日経次期社長に副社長の長谷部剛氏

長谷部剛・日本経済新聞社次期社長

「2016年3月からの東京編集局長時代に重要なニュースを紙面に先駆けて電子版に掲載する『デジタルファースト』の編集体制を確立。19年3月からデジタル事業を統括して、DX推進室を新設するなどデジタル政策を主導しています」(日本経済新聞社)

 日本経済新聞社は3月末の株主総会を経て、社長の岡田直敏氏が代表権のある会長に、副社長の長谷部剛氏が社長に就任。会長の喜多恒雄氏は顧問となる。「次期社長候補は3人いたが、1年半前の人事で長谷部氏1人が残った。その意味では驚きはない」(関係者)という。

 長谷部氏は青森県出身の63歳。1980年早稲田大学政治経済学部卒業後、日本経済新聞社入社。12年常務、15年専務、20年副社長に就任。新聞社の経営が厳しさを増す中、日経は電子版の有料会員数を76万まで拡大。社長の岡田氏と共にDXを進めデジタルファーストを定着させ、次の道筋をつけたという意味でも順当な人事といえる。

 デジタルだけでなく、グローバルにも力を入れる同社だが、そこにも〝デジタルファースト〟の戦略がつながる。例えば、記憶に新しいNTTのドコモ子会社化のスクープ。たとえ夜でもデジタルファーストで特ダネを出せば、欧州やニューヨークなど海外のマーケットに届く。

 新聞業界は構造不況。国内で競い、半日置いて朝刊で出すのではなく、特ダネを必要とする人々に国境を越えて情報を届けていく戦略だ。日経は取引先の人事異動を通知するサービス

「日経人事ウオッチPro」を刷新するなど、「仕事で使えるツール」として電子版の付加価値拡充を進めている。海外でもNYタイムズやワシントンポスト、ウォールストリートジャーナルが有料の電子版を伸ばす一方、広告モデルの新聞社は苦戦を強いられている。

 経済ニュースというビジネスマンに不可欠な情報を届ける媒体として日経は新しいメディアの基盤を整えたといえそうだ。


リクルートHD次期社長にIndeed発掘の出木場氏

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事