2021-03-29

鹿島社長に建築畑・天野裕正氏、デジタル化、人手不足が課題

左から、押味至一・鹿島社長、天野裕正・同 次期社長

「当社の中核である土木、建築の建設事業の基盤を強化することと、社会の変化に応じて企業価値を新たに創出することに挑戦していきたい」と話すのは、鹿島次期社長の天野裕正氏。

 3月9日、鹿島は4月1日付でのトップ交代を発表した。社長には副社長の天野氏、社長の押味至一氏は代表権のある会長に就く。

 天野氏は1951年9月神奈川県生まれ。77年早稲田大学大学院(建設工学)修了後、鹿島入社。以来、一貫して建築畑を歩み、95年のアクトシティ浜松を始め、大型案件を担った。

 押味氏とは横浜の現場時代から上司・部下の関係で「長い間、仕事ぶりを見てきたが目標に向けて計画、施策を練り、リーダーシップを発揮して組織的に実行してきた姿を見て、後任を託すことにした」と押味氏。

 4月からは新たな中期経営計画が始まる。「現行の中期経営計画は、今期まで事業目標をほぼ達成できた状況だが、コロナ禍により今後は全く予断を許さない状況。次期中計はその状況下でも鹿島の今後の展開を一層強固にするもの。次期社長にそれを託す」と押味氏。

 天野氏は今後の課題として、生産性向上に向けたデジタル化を挙げる。「我々の経験値、暗黙知を、デジタル化によっていかに若い世代に伝えていくか。時代に即した技術の伝承を図っていく」と強調。

 20年11月には取締役相談役を務めていた創業家の鹿島昭一氏が逝去。また今回の人事では創業家の渥美直紀氏が相談役に退く。このことを受けて押味氏は「我々にとっては重い創業家。DNAを次代につないでいきたい」と話した。

 足元では手持ち工事は多いが、コロナ禍によって業界全体で新規受注が減少する難しい環境下。リニア裁判も高裁に控訴しており、終結には時間がかかる。天野氏が担う役割は重い。

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