2021-03-31

通信事業が価格競争に入る中 法人事業を伸ばす! ソフトバンク流”新規事業育成”法

2020年4月ソフトバンクが設置した「会津若松デジタルトランスフォーメーションセンター」

ソフトバンクグループの有力事業会社・ソフトバンク。通信値下げによる減収を、2018年の上場以来掲げてきた「ビヨンドキャリア戦略」で乗り越えようとしている。目指すのは、パートナーとの共創による社会課題解決だ。


非通信事業は全体 の46%

「〝通信事業〟というコアの上にヤフー・LINEという〝インターネットカンパニー〟が乗り、PayPayを代表する〝新領域〟でトータルで成長する。とりわけ、非通信事業が成長ドライバーになってきた。上場時から描いてきた『ビヨンドキャリア戦略』がリアルに進展した」と語るソフトバンク社長兼CEO・宮内謙氏。

『ビヨンドキャリア戦略』とは、通信事業に加え、ヤフーやLINE、新領域と3つの領域を伸ばす戦略。

 政府の要請で今年3月、携帯料金の値下げが一気に進んだ通信業界だが、ドル箱事業の消費者向け事業は収益悪化が避けられず、各社〝非通信〟事業の拡大が課題となっている。

 ソフトバンクの事業は、個人向け通信の「コンシューマ事業」、法人向けにモバイル端末や固定電話、ソリューションを提供する「法人事業」、法人にクラウドサービス、消費者にモバイル機器などを提供する「流通事業」、「ヤフー(LINE)事業」の大きく4つ。

 2020年3月期第3四半期までの業績を見ると、コンシューマ事業以外の〝非通信〟の売上が全体の46%を占める。

 ヤフーが非通信事業のわかりやすい事例だが、近年、決算発表や事業説明会で宮内氏が強調してきたのが法人事業の伸び。

 今期3Qの売上高は5077億円(前年同期比7・8%増)、営業利益931億円(同20・8%増)。テレワークに対応する商材が好調な他、ソリューション事業が伸びている。

「企業の個別課題を解決する。ネットワーク、スマホ、データセンターを単体ではなく、トータルで提供し、ビジネスモデルの変革もお手伝いする。コンサルティングから最終サポートまでできるのが強み」だ。

 宮内氏いわく「アクセンチュアさん、富士通さんなどSEをお持ちの会社とぶつかるが、協調と競争でやっている。人材が重要なので、コンサルティングができる人材をどんどん増やしている」という。

 ソフトバンクの法人事業は2004年、通信の日本テレコムの買収に溯るが、宮内氏の話にあるように、ここへきて大きく事業の中身が変化している。

 端末やネットワークだけでなく、業務の自動化やオンライン会議システムなどソフトも含めてソリューションを提供。

 中でも、法人事業の変化を象徴しているのが、17年10月に設立したデジタルトランスフォーメーション(DX)本部。18年12月の通信事業会社ソフトバンクの上場に向けた成長戦略を描く流れで誕生した部署だ。

 組織の立ち上げから携わったソフトバンク法人事業統括・デジタルトランスフォーメーション本部長の河西慎太郎氏は、当時の状況を次のように語る。

DeNA新社長の総務省出身の岡村氏

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