2021-04-01

内政はコロナ、外交は対中国関係 微妙にすれ違う日米の基本認識

イラスト:山田伸

見えないウイルスとの戦いに全力を挙げる首相の菅義偉。4月には米大統領のバイデンと日米首脳会談も予定される。急降下した菅内閣の支持率は下げ止まりつつある。だが、外交では米中対立の中で基本的な外交戦略をどう描くかという課題が迫る。対中国で言えば、尖閣問題では同盟、ウイグルでは食い違いを見るなど、内政はコロナ、外交は米中関係とえる。最初の関門は日米首脳会談となる。

似たもの政権

「首相の訪米、日米首脳会談については、新型コロナウイルスの感染状況を見つつ、可能な限り早い時期で調整していきたいと考えています。しかしながら、具体的な日程などは現時点で何ら決まっているものではありません」

 官房長官の加藤勝信は3月8日の記者会見で、菅が訪米する時期に関して、そう述べた。

 アメリカのニュースサイトがこの日、バイデンが4月に菅をホワイトハウスに招待し、首脳会談を行う方向で調整していると報じていた。そのタイミングで実現すれば、バイデンが就任後に初めてホワイトハウスで直接会談する外国首脳が菅となる。

 もっとも、バイデン政権も新型コロナ対策を最重要課題と位置づけているため、ホワイトハウスは加藤と同じように「何も決まっていない」とした。

 12年前の2009年2月、大統領に就任して間もないオバマが初めて直接会談した外国首脳は当時の首相・麻生太郎だった。そうしたためか、自民党のある閣僚経験者は「菅政権は麻生政権とよく似ている」と語る。

 菅内閣が発足したのは20年9月16日で、麻生内閣は08年9月24日。いずれも衆院議員の任期が残り約1年に迫った時期に誕生した。

 新内閣への〝ご祝儀相場〟で高い支持率を背景に政権運営をスタートさせている。その勢いで早期の衆院解散・総選挙に打って出ることが期待されたのも共通項といえる。

 ただ、菅は政権発足直後から収束が見えない新型コロナウイルスとの戦いに取り組まざるを得ず、就任直後の衆院解散を見送った。これも政権発足と同時にリーマン・ショックという100年に1度の金融危機に見舞われ、経済景気対策を優先させるために衆院解散を見送った麻生政権と同じだ。

 しかも、期待された衆院解散を先送りしたことで、支持率が急落したのも菅政権と麻生政権が重なる。

 首相になってからの2人の言動も似ている。菅は新型コロナの第3波が到来した昨年12月、国民に5人以上の会食を自粛するよう呼び掛けていながら、自身は東京都内の高級ステーキ店で自民党幹事長の二階俊博らと計8人で会食した。

 その後も〝はしご会食〟をしたため、国民からは不満の声があがった。麻生が経済金融危機の最中、ホテルのバーに連日足を運んだ〝バー通い〟が国民の冷たい視線を浴びたこととそっくりだ。

 それだけではない。菅は官房長官だったときは、安定した発言が持ち味でもあった。ところが首相就任後は国会で「重点化」を「げんてんか」と誤読するなど原稿、資料の読み間違えが目立った。麻生も首相当時に「未曾有」を「みぞうゆう」「踏襲」を「ふしゅう」などの読み間違えを連発したことで冷笑された。

【株価はどう動く?】米ニューハイテク相場に転機、「テスラ売り」はその予兆か

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事