2021-04-03

「レベル4」が自動運転の主戦場 ホンダが世界初の「レベル3」を発売

ホンダが発売した「レベル3」搭載のセダン「レジェンド」

ホンダが自動運転「レベル3」のクルマを投入する。5段階に分かれる自動運転技術。世界中の自動車メーカーが競っている技術だが、上から3番目のレベル3の市販化は世界初。

 これまで「レベル1」や「レベル2」の市販化は進んでいた。例えば、レベル2では日産自動車の「スカイライン」やSUBARUの「レヴォーグ」などがある。運転中にハンドルから手を離すこともできたが、運転の主体はあくまでも運転手。

 しかし、レベル3ではシステムが運転の主体となる。日本で130万㌔もの走行試験を経て実用化したホンダのレベル3の自動運転車では、高速道路での渋滞時に運転手はハンドルから手を離すことが可能な上に、前方を見ずにカーナビやスマートフォンも操作できる。販売店の関係者も「技術力を前面に打ち出す好機になる」と期待する。

 ただ、レベル3は自動運転の商品としては「中途半端な位置にある」(他メーカー関係者)ことも事実だ。レベル3のクルマは特定条件下における自動運転になる。そのため、高速道路での渋滞解消といった特定条件を外れたりすると、ドライバーの対応が求められる。「いつ手動の運転に切り替わるのか、常に運転できる態勢を整えておかなければならない」(同)わけだ。

 しかも、ホンダがレベル3の技術を搭載する高級セダン「レジェンド」の価格は1100万円。国が認める資格を持つ特殊な技術者が整備する必要があるため、100台の限定生産で、メンテナンスパックを付属したリース販売に限定されている。

 それでもホンダが前のめりになるのは「優れた技術を示すことで、先進的なブランド価値を訴えることができる」(関係者)からだ。走行データがホンダに蓄積されていけば、量販車向けのシステムの開発にも活かせる。レベル3は、メルセデス・ベンツなども投入する予定。

 自動運転の最大のライバルはIT企業だ。グーグル系のウェイモは米カリフォルニア州でのテスト走行が101万㌔に上るなど、レベル3を飛び越えた緊急時もシステムが主体となる「レベル4」の実現を狙う。

 対するホンダは米ゼネラル・モーターズ傘下の「クルーズ」に出資しており、レベル4の実現にも漕ぎつける考え。優位に立ったホンダがそのまま先頭集団にいられるか。レベル4の投入が急がれる。

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