〝サービス〟ではなく
〝インフラ〟で勝負
時代の変化も追い風になっている。「5Gなど新しい無線通信が出てくると、認証などのセキュリティも強化される。さらに情報を書き込んだり、参照する量が増え、高速な処理が要求される。だが、それに対応するものがない」のが現状だからだ。
GO-NETにとって今年は重要な1年。様々なテストを開始し「われわれの描く絵がきちんと動くことを証明」していく年になるからだ。
「取り組みを確実にし、その延長線上でパートナーシップやアライアンスを進めていく」と徳永氏は意欲を見せる。
最初の取り組みは「セイコーソリューションズの決済情報処理センターと三菱UFJニコス間の与信枠確認の通信」。秒間10万件の処理能力で2秒以内の応答性能を検証済という。
海外ではグーグルやアップルの銀行参入の動きもある他、国内でも給与のデジタル払いが解禁され、銀行の〝中抜き〟が現実味を帯びてきた。銀行口座を通さず『PayPay』などに直接給与が振り込まれれば、顧客接点の起点となる銀行口座も消滅。公共料金やクレジットカードの引き落とし、住宅ローンの獲得も難しくなってくる。
これまでも『Bank Pay』などスマホ決済に取り組んできた銀行だが、『PayPay』などのフィンテック勢に惨敗の状況。
そうした中、MUFGはGONETで競争のステージをサービスではなくインフラに移した。
新たなインフラを既存金融システムの雄・NTTデータではなく、アカマイと組んだことにも大きな意味があるといえる。
日本での展開がうまくいけば、各国に会社を作り、GO-NETを横展開、さらにはIoT社会を支えるインフラにもしていく構想を描く。金融の世界も新たな競争ステージに入っている。