生命保険はネットで普通に買える商品になるのか?この問いに取り組んできたのがライフネット生命保険。今は大手生保などもネット生保に参入し、市場に占めるシェアは5%弱まで来た。「自分で選び、ネットで買う『普通の商品』にしていきたい」と、ライフネット生命社長の森亮介氏。2024年4月にはエーザイと共同開発した「認知症保険」の販売を開始するなど、新領域開拓も進む。
【あわせて読みたい】エーザイがライフネット生命と「認知症保険」を共同開発ネット生保は「戦国時代」「3年前であれば、『認知症保険』を出すことは想像できなかった」と話すのは、ライフネット生命保険社長の森亮介氏。
インターネット専業保険会社の草分け的存在であるライフネット生命が、新たな領域の開拓を進めている。
2024年4月1日、ライフネット生命は製薬大手のエーザイと共同開発した認知症保険「be」の販売を開始した。認知症や軽度認知障害 (MCI)と診断された際の一時金や、疾患の理解をサポートするサービスを提供する。両社は22年に資本業務提携を結んだ。
ライフネット生命の顧客は20代から40代と、他生保の顧客層と比べても若いことから、森氏は当初「認知症のことを考えるには早いのではないか」と思っていたという。それが「エーザイさんから『一緒にやりましょう』と非常に情熱的にお声がけいただいた」(森氏)ことから共同開発への流れができた。
当時、エーザイはアルツハイマー病治療薬を開発中で、治療での経済負担を支える保険領域やオンライン・デジタルに強みをもつ提携先を探していた。さらに治療だけでなく、早期発見・予防に向けたサービスの開発・普及も目指しており、30代、40代からの行動変容を促したいというのがエーザイの考えだった。
「40代頃から、認知症の原因物質が脳に溜まり始めるという研究結果があるが、潜在層の数は対面で働きかけるには多すぎる」(森氏)ことから、ライフネット生命が持つ「ネット」の力が求められたということ。
この経験は大きなヒントになった。「当社がお役に立つのは、こういうやり方なのかなと気付き始めてきた」と森氏。
世の中に残る複雑な社会課題の解決には1社ではなく、複数の会社の連携が必要。その時、「仲間を必要としている企業さんと連携して、その社会課題解決の一助となるような会社を目指していく」。すでに複数の企業との検討が進んでいる。