2021-04-09

LINEが個人情報問題で開発・管理体制を変更

出澤剛・LINE社長

「多くのユーザーからの信頼を裏切ることになったことを重く受け止めている。法律云々ではなく、ユーザーからして『おかしい』『気持ちが悪い』ということへの対応ができていなかったということだと思う」

 LINEユーザーの個人情報の一部が中国のエンジニアが閲覧できる状態だったことを受け、LINE社長の出澤剛氏はこう謝罪。中国からのアクセスは完全に遮断し、業務を終了。また韓国など国外に保存していたデータも国内に移転。政府自治体向けのデータも国内で保管。プライバシーポリシーも改訂し、国名明示などユーザーへの説明をより明確化する方針を示した。

 LINEは日本発IT企業としては数少ない海外展開に成功した企業。台湾やタイで高いシェアを獲得している。親会社が韓国ネイバーだったということもあり、グローバル展開が進んでおり、開発拠点は7カ国、データも5カ国に置いている。

 中国では不正などを検知するモニタリング業務を行い、画像や動画などのデータは韓国のデータセンターに保管していた理由をLINE取締役CSMO(最高戦略マーケティング責任者)の舛田淳氏は次のように説明する。

「われわれのサービスは“速い”ことが重要。複数の国でサービスを展開する上で高いセキュリティがあり、人材がいる拠点を探し、親会社のネイバーが提案した中から選んでいた」

 クラウド時代、また日本企業が海外からのサイバー攻撃を度々受けているように、本来、データをどこに置くかよりも、データをきちんと管理できる場所か否かが重要なポイントだ。

 また、個人情報保護法では海外への業務委託に本人同意を求めておらず、LINEのデータ管理は法的にも問題はない。

 だが、来年施行される改正個人情報保護法に向けて「準備をしてきたが、現行法なら問題ないと判断し、ロールモデルになるべきところ、前倒しをしなかったことが問題だと思っている」(舛田氏)と反省する。

 今回の問題を受け、個人や企業の利用にはほぼ影響は出ていないが、強く反応したのが政府。

 個人情報保護委員会や総務省、金融庁などがLINEとZホールディングスに報告書の提出を求めている。自治体はコロナ禍でLINEの様々なサービスを活用しており、ワクチン予約システムにも使われる予定。

 民間のサービスでありながら社会インフラ化しつつあるLINE。今年3月にはソフトバンクの子会社となり、社会インフラとしての側面を強化する方針の中、データ管理のあり方もより慎重さを求められている。

なぜ今、大和ハウスは「データセンター」に注力するのか

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事