2024-06-28

「リーズナブルなプライスで美味しさを追求」消費者と直接対峙するイオンの価格戦略

従来の固定概念を打ち破る新たな総菜開発はできるか(写真は6月6日に行われた「イオン 惣菜戦略発表会」)

お惣菜でも本格的なレストラン並みの食事を



「惣菜と聞いて思い浮かぶのは、おかずにプラス一品とか、つくる時間が無いという家庭のサポート機能だと思われるが、今は外に食べに行くようなメニューを家庭で気軽に取り入れたいというニーズが顕著に見えている。そうしたニーズにお応えし、家庭の食卓の代替だけではなく、外食を含めたすべての食卓に応えていきたいと考えている」

 こう語るのは、イオンリテール社長の井出武美氏。

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 近年、コロナ禍でテレワークが定着したことなどから、自宅で食べる中食・総菜のニーズが高まっている。

 日本惣菜協会の調査によると、2023年の惣菜全体の市場規模は前年比4.9%増の10兆9000億円。昨今は物価高の影響もあり、外食を控える人たちが増え、お惣菜でも本格的なレストラン並みの食事を楽しみたいというニーズが増えた。

 そうした状況下、イオングループは約3年をかけ、総菜開発体制を見直した。商品開発から製造、販売までを一気通貫で行う〝食のSPA(製造小売業)〟を実現させるため、6月から千葉県船橋市で新たな総菜プロセスセンターを本格稼働。シェフと開発のスペシャリストによるチームを発足し、最新鋭の設備で商品開発を進めていく考え。

 狙いは、家庭ではなかなか実現できないシェフ・クオリティのお惣菜を毎日、気軽に食べてもらえるよう、シェフの技術を量産化で実現すること。同プロセスセンターから約100品目のお惣菜『Craft Delica(クラフトデリカ)』を生産し、イオンリテールやまいばすけっとなど、関東圏の約1500店舗で販売する予定だ。

 イオンリテール常務執行役員食品本部長の七尾宣靖氏は「節約志向やタイパ(タイムパフォーマンス)重視など、お客様が求めるものは、値段だけではなく、時間的な制約も大きくなっている。毎日ベストなものを食べたいというお客様のニーズに応えうる商品を提供し続けることが大事」と語る。

 お惣菜の開発強化を急ぐのは、ライバルのイトーヨーカ堂も同じ。ヨーカ堂は素材から味、容器までこだわった新たな惣菜ブランド『YORK DELI(ヨーク・デリ)』を立ち上げた。消費者が昨今の物価高で、品質が高く、より値ごろ感のある商品を求めていることが大きい。



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