2021-04-13

MRT社長・小川智也の「オンライン診療で“医療版MaaS”の実現を」

小川智也 MRT社長

約26万人の医療従事者が登録



「日本の医療現場は、常勤の先生だけで回しているわけではなく、曜日ごとに大学病院の先生が紹介されてきたり、非常勤で短期的に働く外勤の先生方の協力で成り立っている。当社の紹介サービスは、緊急で今日の夜から当直に来てほしいとか、明日の朝から手術に対応できる医師が必要とか、臨機応変なニーズに対応でき、日本の医療現場を24時間365日体制で支えている」

 こう語るのは、MRT社長の小川智也氏。

 非常勤で働く医師や看護師を医療機関に紹介するサービスを提供するMRT。2000年に東京大学医学部附属病院の医師の互助組織を母体として設立し、2014年に東証マザーズに上場。小川氏自身も医師で、取締役も7人中5人が医師というユニークな会社だ。

 長年、医師の間で問題になっているのが、地域的な偏り。医師が東京や大阪、京都などの都心部に集中。一方で東北地方には慢性的に医師が不足しているなど、地域によって医師が偏在している。また、医師の診療科が偏在していることも大きな問題。特に長時間労働や医療訴訟リスクの高い外科や産婦人科の人手不足は顕著だ。

 そうした中、同社は2020年12月時点で約26万人の医療従事者が会員登録。このうち約7万人が医師で、約1・2万の取引先医療関連施設を抱えており、医師と医療機関を年間14万件マッチングしている。

 2020年12月期の業績は、売上高25億円(前年同期比3・4%増)、営業利益は同約3倍の2億円となった。

 そんな同社だが、やはり、この1年間のコロナ禍には悩まされた。

「緊急事態宣言で外出自粛を余儀なくされ、困っている病院は沢山あるけど、大学病院から行かせようと思っても行けないとか、行きたいと思っても自分がコロナにかかってしまったら、他の病院に迷惑をかけてしまうとか、医師にも様々な葛藤があった。地域の中核病院を支え、サポートするために、われわれができることが何であるのか考えさせられた」(小川氏)

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