2024-09-27

「双日らしい成長ストーリーの実現を」双日新社長・植村幸祐が語る『カタマリ戦略』

植村幸祐・双日社長



 その代表例にしたいのが、すでに知見やネットワークを持つベトナム。

 同社とベトナムとの歴史は長い。日商岩井時代だった1986年に、総合商社として初めてハノイ駐在事務所を開設。石油の開発と石炭買い付けで始まった関係は現在、日本のコンビニエンスストア『ミニストップ』を含めた小売りや卸売り、物流など、さまざまな事業を展開。これら個々の事業に横串を刺すことで、より強みを持った事業群にしようと考えている。

第一生命経済研究所首席エコノミスト・熊野英生の提言「トランプ再選リスク」

「塊を大きくするため成長市場へ張っていく。それこそ点から線に、線から面にということで、形が整ったのはベトナムかなと。この数年、物流事業の拡大や卸の会社を買収し、食料や小売り関係を強化してきた。仕入れ能力も高まり、いろいろなコントロールがきくようになるし、最近は牛肉の畜産も始めている。輸入だけではなく、国内で生産して、国内に流通させていきながら、お客さんを囲い込んで、規模を高めていく」(植村氏)

 ベトナムの次に見据えるのはインドを含めたアジア。世界一の人口を抱え、今後の経済成長が期待されるインドは、鉄道のインフラ整備や冷凍の物流網(コールドチェーン)整備がまだまだ不十分。そのため、植村氏もビジネスチャンスは大きいと考えており、ベトナムでカタマリ(塊)戦略の成功事例をつくり、それを他の国々に拡大していこうと考えているようだ。

 そうした取り組みを進めることで、2030年ごろに、当期利益2千億円、ROE(自己資本利益率)15%、時価総額2兆円を目指す。企業価値を現状の2倍にする野心的な計画だ。

「2倍という目標を掲げたからには、ビジネスの中身を変え、一件あたりのサイズを変えていかないといけない。成長期待をマーケットに持ってもらうため、実績で示していく。今、PER(株価収益率)は7倍くらいだが、9倍後半にもっていきたい」(植村氏)

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事