2021-05-10

つくばセントラル病院・竹島徹理事長「病院の使命は『地域を守る』こと」

つくばセントラル病院・竹島徹理事長

たけしま・とおる
1940年東京都出身。66年千葉大学医学部卒業。71年同大学医学部大学院卒業(医学博士号取得)後、千葉大学医学部第二外科入局。74年米マウントサイナイ大学医学部外科クリニカルフェロー、75年筑波大学臨床医学系外科(消化器)講師、88年つくばセントラル病院院長。93年医療法人つくばセントラル病院院長・理事長。98年筑波大学医学専門学群臨床教授兼任。99年社会福祉法人若竹会理事長。2005年特定医療法人つくばセントラル病院に改組。13年社会医療法人 若竹会つくばセントラル病院に法人名変更。

医療機関の役割とは何か──。コロナ禍におけ医療体制の不備が指摘される中、いち早く独自のコロナ検査態勢を構築したのが茨城県牛久市を拠点に「つくばセントラル病院」をはじめ、老人ホームや「産後ケアセンター」なども運営する同病院理事長の竹島徹氏だ。同院は出産後の母親をケアする「産後ケア」でも知られる。「地域を守る」と強調する竹島氏の医療機関としての役割と使命を聞いた。

受診控えが続く中でも黒字化

 ── 若竹会法人グループは「つくばセントラル病院」を中核として茨城県牛久市を中心に県南地域における地域医療の先達として成果を上げていらっしゃいますね。まずはコロナ禍における病院経営について理事長の考え方を聞かせてください。

 竹島 コロナ関連の患者さんは茨城県でも昨年3月には拡大してきました。そこで私は経営者という立場から現場に対しては「我々の病院はコロナから逃げないようにしよう」というメッセージを発信しました。

 逃げないとはどういうことか。それは患者さんの治療の一翼を何とか担っていこうということです。これは今も変わらず、発熱外来でも結構たくさんの処置を行っていますし、2つの病棟で入院患者さんを受け入れています。県内でコロナ関連の患者さんが入院できる病床としては結構多いと思います。

 それから、保健所からはクラスターへの対応依頼が来ていますので、感染が疑われる家族なども紹介されて、是非この検査もやってもらいたいと。他にも市民からの問い合わせに対応する医療相談も行っています。

 ── 現場での対応も継続して行っているわけですね。

 竹島 ええ。重症の患者さんは感染症病院にお願いしますが、それ以外の患者さんには全て対応しているのが現状です。その結果、昨年4月の財務状況を見てみると、収益が約12%ダウンして赤字になりました。コロナに対応している病院は大体同じような状況だと思います。

 収益が12%もダウンするということは病院経営にとっては大きな痛手です。その減収部分を取り戻すには3~4年かかってしまうからです。病院は季節変動が比較的少ないのですが、コロナに関しては大変な影響を受けたということになります。

 ── その厳しい環境をどう生き抜いてきたのですか。

 竹島 とにかく前に出てやるしかないと。地域の人々をコロナから守る。これが我々の理念でもあります。院内感染のリスクがある中でもコロナ対応を始めてから1年2カ月が経過したわけですが、当院は院内感染の被害を受けないで済んでいます。

 もちろん、最初は不安でしたね。コロナの患者さんを受け入れ始めると、外来患者さんは一気に減りました。昨年4月の外来患者さんは3割減ったんです。今でも1割程度ダウンしています。これは日本中の病院がそうです。小児科や耳鼻科はもっと影響が大きく、40~
50%ぐらいのダウンが続いています。

 ── 受診控えですね。

 竹島 はい。ただ、いろいろなデータを見ると、通院患者さんでも軽症の患者さんの数が減っている一方で、中症・重症の患者さんの数は減っていません。ですから、比較的通院患者さんは減っていないのです。その結果、当院も財務的には経常利益を出せるほどになりました。

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