2021-04-29

【総務省】次期次官候補辞職に続き武田大臣も会食同席発覚

放送関連会社「東北新社」やNTTから国家公務員倫理法に違反する接待を受けていた総務省の谷脇康彦前総務審議官が3月16日付で辞職した。放送、通信行政への国民の信頼を損ねたことに対する引責辞職とみられる。

 情報通信分野に精通し、要職を務めてきた谷脇氏は、旧郵政省系のエース官僚。菅政権が看板政策に掲げる携帯電話料金値下げのキーマンとして奔走し、夏の同省幹部人事では事務次官への昇格が有力視されていた。

 高速通信規格「5G」の次の「6G」の主導権争いをはじめ、情報通信技術をめぐる国際競争が激化する中、与党関係者からも「有能な人材。もったいない」との声が漏れる。

 谷脇氏は、菅義偉首相の長男が勤める東北新社から4回計約12万円の接待を受けたとして、2月24日に減給10分の2(3カ月の)の懲戒処分を受けた。さらに、NTTから3回計約10万円の接待を受けていたことが判明。3月16日に2度目の懲戒処分となる停職3カ月が決定したのに伴い自ら辞職願いを提出し、受理された。

 武田良太総務相は、「幹部職員が公務に対する信頼を著しく失墜させる行為を行い、職を辞するに至ったことは、誠に遺憾」と陳謝。一連の接待問題について、省内の現役職員のうち、情報通信を担当する課長級以上の経験者ら144人に調査対象を拡大し、真相究明を進める考えを強調した。

 ただ、その武田氏自身も、週刊文春の報道で昨年11月にNTTの澤田純社長らと会食していたことが発覚。武田氏は、JR東海の葛西敬之名誉会長の呼び掛けに応じ出席した会食で、「当日まで葛西氏と私以外の出席者は知らなかった」と説明。

 大臣規範には抵触せず、問題ないとの認識を繰り返しているが、それまで国会でNTT側との会食の有無を問われた際には「個別の事案については差し控える」と明言を避けてきただけに、閣僚としての姿勢が問われる事態になっている。

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