2021-05-18

【財務省】コロナ感染再拡大で補正予算編成は不可避の情勢

新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う3回目の緊急事態宣言が発令され、経済への打撃を回避するために2021年度補正予算編成は避けられない状況になった。麻生太郎財務相は休業要請の対象事業者への財政支援に関し、4月23日の閣議後会見で問われると「関係省庁がこれから協議する」と述べるにとどめたが、与党からの歳出圧力は強まるのは必至だ。

 コロナに伴う支援を巡っては、麻生氏は4月16日の記者会見で、政府が一部自治体に飲食店の営業時間短縮など蔓延防止等重点措置を適用したのを踏まえ「(感染の抑止で)経済成長が戻ってきており、税収も戻ってくるので心配していない。今年度予算が順調に執行されるほうが肝心ではないか」と指摘。「(支援総額は)何百億、何千億という話にはならない」とも語り、財政への影響は限定的との見方を示していた。

 だが、今回は夏の東京五輪や今秋までの衆院解散・総選挙を控えた中での緊急事態宣言になるため、大規模な財政出動が求められるのは必至だ。財務省内では「コロナが収束しない限り『じゃぶじゃぶ』が続くと覚悟している」(主計局中堅)と諦めムードが覆う。

 矢野康治主計局長が菅義偉首相の官房長官秘書官だったため、首相官邸とのパイプへの期待から、省内では一時、財政引き締めへの機運もあったが、今や雲散霧消した。一方、薬価の毎年改定を手始めに、政権肝いりの「こども庁」創設などコロナ禍を「社会保障制度の抜本改革の好機」(幹部)として、水面下で与党への根回しが進むなど際限ない財政出動を容認する与党への“反撃”も始まっている。

 6月に策定する経済財政運営の基本指針「骨太方針」をテコに、22年度予算編成を巡る攻防は激しくなりそうだ。

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