2021-05-24

【34期連続の増収増益・ニトリHD】似鳥昭雄の「何事も先制主義。やると決めたら、そこに力とお金を!」

似鳥昭雄・ニトリホールディングス会長

「コロナ危機は全産業において強弱がはっきりする」とニトリホールディングス会長の似鳥昭雄氏。その中をどうやって生き延びるか? 似鳥氏は「そのためには、よそより強いものが1つなければ駄目。1つだけでも生き延びるけど、もっと進むなら2つあればいい」と語る。コロナ禍の2021年2月期も増収増益をあげ、34期連続の増収増益決算。今年1月にはホームセンター大手の島忠をM&A(合併・買収)して子会社化、22年2月期も増収増益を見込む。デジタルトランスフォーメーションが進む中、リアル店舗とネット販売の融合が進むわけだが、決め手は、「お客様にとって、自分たちの店がデスティネーションストアになっているかどうか」ということ。バブル崩壊、リーマン・ショック、そして今回のコロナ危機と、危機のたびに工夫し、それを乗り切ってきたのも、『低価格で高品質』路線を歩いてきたからだ。家具・インテリアの“住”から出発した同社は“衣”や“食”の分野にも本格的に取り組む。似鳥氏の次の成長戦略とは─。

「だれもやらない事を一番先にやる!」

「何でも、だれもやらないときにやることが成功のもとで、みんながやってからやったんじゃもう遅い。何でも一番先にやることです。先制主義であり、重点主義。やると決めたら、そこに力とお金、すべてをかける。一番主義で先制でやらないと一番になれない。よそが今から、われわれの真似をしても、なかなか成功しないですね。うちがシェアを取ってしまっているから」

 2021年2月期の連結業績が売上高7169億円(前期比12%増)、経常利益1384億円(同28%増)と34期連続の増収増益を達成したニトリホールディングス。創業者で会長の似鳥昭雄氏はだれも手がけていないことを開拓していく、つまり先制主義が大事と語る。

 未曾有のコロナ危機を迎えて、同社は経費を200億円下げる見込みで21年2月期決算に臨んだ。結果は、12%増収で経常利益は前々期の1095億円から1384億円と289億円の増加となった。

 コロナ危機の中、社会貢献も必要ということで、美術館への寄付や京都大学に10億円の奨学資金を提供するなど、これらの累計が200億円にのぼる。
「(前期は)コロナ危機が始まった年だし、経費を落とせと。経費を落としたんですが、このようになってしまった。本当は経常利益も1200億円ぐらいにしておきたかったんですが、削りようがないということでね」

 コロナ禍は向こう1年余は続く見通し。どう対応するか?

「来年2月の決算は何としても、35期連続の増収増益をやりたい。
上場企業の増収増益記録でいえば、うちが31期連続で世界第2位で、米国のウォルグリーンと一緒なんですよ。第1位は米ウォルマートで32期連続(2013年で連続記録はストップ)。何としても、第1位に並んでいきたい。世界1になるなんてことは滅多にないことですからね」

 ニトリの34期連続の増収増益は株式上場(1989年)前からの記録。上場した後の記録でいえば、31期連続というのが21年2月期での数字になる。

 同じ世界2位の米ウォルグリーンはドラッグ(薬品)中心のディスカウントストア。世界1の記録は同じディスカウントストアの米ウォルマートが保持。
「ウォルマートは機械産業や自動車、石油などのエネルギー産業も含めた全産業で世界1です。そこと同じポジションに就きたいし、そういうチャンスは生涯ないと思う」と似鳥氏。

 コロナ危機の中では、何が起こるか予測はつかない。またネット通販、デジタル革命の進展で、新しい経営の仕組み、フォーマット(型)も登場して、まさに疾風怒涛という表現がぴったりの変化の激しさだ。その中をどう生き抜くかという命題である。

本誌主幹・村田博文

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