2021-05-24

【34期連続の増収増益・ニトリHD】似鳥昭雄の「何事も先制主義。やると決めたら、そこに力とお金を!」

似鳥昭雄・ニトリホールディングス会長



製造、物流、そしてITを兼ね備えた小売業


「われわれは製造物流IT小売業です」と似鳥氏は言う。
 製造業の部分だけを見ても、アジアに約1万人の従業員を抱える。ベトナムでは首都ハノイに16年前に進出。5万坪(16・5㌶)の工場に約6000人の雇用を抱える。そして南部ホーチミン市には12万坪(39・6㌶)の土地に5万坪の工場を建設。ハノイ工場では、さらに2万5000坪(8・25㌶)のカーテン工場を新設、今年から稼働させている。このカーテン工場は、紡績から色染め、そして縫製までの一貫工場である。

 また、タイの首都バンコクでは、日本で消費されたペットボトル1億本を素材にしたカーペットを作りあげている。
「ペットボトルを溶かして糸にして、糸から布に織って、縫製してカーペットに仕上げていく。今、いろいろなカーペットをつくっているんです。柄の入ったカーペット、無地のカーペット、どんどん進化させていく。これも世界で初めてです」

 1つの工場で、ペットボトルから最終製品まで手がけるというのはニトリが初めて。
「結構世界で初めてのことをやっているんですよ。皆さん知らないと思いますが」と似鳥氏。
 これも先制主義の1つ。そして、素材から最終製品づくりまで、自分たちの手で極めていくという経営の仕組みづくりだ。

「70代は青春、今が一番楽しい」

 コロナ危機をしっかり生き抜き、ポストコロナを見据えたグローバル戦略を練り上げていく。それには、「人材育成が不可欠」と似鳥氏は語る。

「米国も、強大なウォルマートがいて、ホームファッション類で手強い存在。われわれは価格、品質では負けないが、そうした領域は避けて、得意な家具類で勝負するチャンスはあります。そのためにも人材が必要」

 また、中国も人材不足もあり、ここ2年間出店していなかったが、これから注力していく方針。こちらは、台湾で成功した人材を中国に送り込み、中国国内の幹部を全部入れ替えて、新体制で臨む考え。
 いずれにせよ、新しい変化の時を迎えて、新しい仕組みづくりが欠かせない。

 1944年(昭和19年)3月5日生まれの似鳥氏は77歳になったばかり。
「今が一番楽しいですね。70代前の人生は、地ならしみたいなものでね。これから花が咲く」
 似鳥氏は23歳で夫人と2人で創業したときから今日を振り返りながらこう言う。

 そしてこうも付け加える。
「80代は、もっと大花が咲く時代で、90代は世界制覇する(笑)。これは願望ですけどね」
 世界1の座に就く──。「90歳になる前に是非やり遂げたいですけどね。90になるのは13年後ですから」と挑戦者魂を抱き続ける似鳥氏である。


本誌主幹・村田博文

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