2021-05-26

パナソニック津賀社長が退任前、最後の決算で語ったこととは?

パナソニックの津賀一宏社長は5月10日、社長として最後となった2021年3月期連結決算(国際会計基準)発表に臨み「長期的に厳しいままの事業に対して、手を打ってきた」と在任9年間を振り返った。

 21年3月期の売上高は前期比10・6%減の6兆6987億円、営業利益は12・0%減の2586億円、最終利益は26・9%減の1650億円で最終減益は2期連続。ゲーム機が好調だったソニーが1兆1717億円という過去最高の最終利益を発表した後だけに、25年前の売り上げというのは「華やかさに欠けた」(パナ50代社員)。ただ、「津賀社長の肝いりだった車載電池事業が最後に黒字化できてほっとした」(同)という声が大勢を占めた。

 電気自動車大手の米テスラ向け車載電池事業は、これまでに約2千億円を投じている。17年からテスラと米ネバダ州で電池工場を共同運営してきた。車組み立ての量産が遅れたことなどから赤字が続いたが、量産が軌道に乗り、材料費削減生産コストを抑えたことで黒字化した。

 津賀氏は就任約1年後の13年3月に赤字事業の撲滅を宣言し、約6千億円を投じたプラズマテレビ事業からも撤退。その後も中国や韓国などの企業との競争で事業環境が悪化し、不採算事業が発生し続け、「モグラ叩き」と表現したこともあった。半導体事業を台湾企業に売却、テレビ事業も3月までに国内生産を終了。22年3月期中に液晶パネルや太陽電池の生産からも撤退する。

 津賀氏は「構造的赤字事業の改革をきっちりやった。前向きな活動につながることを期待している」と語る。

 今後の成長戦略として、同社はテスラ向け電池事業のラインの増設を進めている他、法人向けシステム事業では4月に米ソフトウェア企業「ブルーヨンダー」を約7500億円で買収することも決めた。いずれの事業も22年4月の持株会社化で主力事業に位置づけており、持株会社化では各事業が高い専門性を目指して競争力を高める。

 社長のバトンをうける楠見雄規氏は、5月27日に初の説明会に臨む。停滞した9年の後に、社員が夢をもつことができる内容を語ることはできるか。

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