2021-06-01

ZIPAIR Tokyo・西田真吾社長「日本初の中長距離国際線LCCとして、誰もが気軽に移動できる環境を提供していきたい」

西田真吾・ZIPAIR Tokyo社長

にしだ・しんご
1968年神奈川県生まれ。90年早稲田大学商学部卒業後、日本航空入社。大阪空港支店、イギリス・ロンドンにある証券会社へ2年出向、資金部、関連事業室、収支資金計画部、マイレージ部企画運営グループ長などを経て、2015年マイレージ事業部部長。18年8月にティー・ビー・エル(現ZIPAIR Tokyo)社長、19年3月から現職。

コロナ禍での初就航


 2018年、当社は中長距離国際線LCC(格安航空会社)としてスタートし、会社設立から2年というタイトなスケジュールでも、社員たちの頑張りで20年5月の就航に向けて着々と準備を進めてきました。

 ところが、第4コーナーを回ったところで新型コロナの感染拡大で大荒れとなり、就航先の政府の水際対策もあって就航は1カ月遅れました。華々しいデビューとはならず、国境を跨ぐ動きがなくなるという厳しい環境でのスタートになりました。

 そんな中、酒造メーカーが消毒用アルコールを生産するというニュースを見て、自分たちも何かできることはないかと考えたのが貨物専用便。昨年6月3日、成田―タイ・バンコク線に就航しました。世界のLCCでも初便が貨物専用便となったのは当社が初めてだと思います。

 お陰様でコロナ禍においては航空貨物の需要が増え、単価も上昇。収支的には決して十分ではありませんが、想定以上に助けられています。これは当社の機材戦略が奏功した形です。

 当社は貨物室を備えた航続距離の長い中型機「ボーイング787」を使っています。座席もフルフラットシートとスタンダードシートを用意し、フルサービスキャリアの半額程度の運賃でご提供しています。

 昨年10月16日には成田―韓国・仁川線に就航。現在は運休中ですが、年末年始には成田―ハワイ・ホノルル線にも就航しました。ホノルル線ではフルフラットシートが想定以上に売れ、お客様からも「この値段で乗れるの? 」と驚かれました。


韓国・仁川を出発して成田空港に到着した「ボーイング787」の貨物室から続々と貨物のコンテナが降ろされる。日本からは食材や化学製品、韓国からはIT関連製品などが運ばれてくるという。西田社長は「貨物の運搬率はほぼ100%」と笑みを浮かべる

JALグループの資産を活用

 国際旅客の回復には時間がかかりますが、ワクチン接種が進めば今年中にも観光や友人・親戚に会うための生活需要が出てくると思っています。その動きに備えてアジア2カ国・地域への新規就航を進め、現在の2機体制から3~4機体制へと拡大しながら、21
年度中に当社の本丸・北米路線への就航につなげていきたいと考えています。

 中長距離国際線LCCは日本初のビジネスモデルです。JALグループの資産を活用しながら軌道に乗せ、このモデルがニューベーシックとなって誰でも気軽に海外に行ける機会を提供していきたいと思っています。


コロナ禍でチェックインカウンターにおける様々な証明書などの書類の手続きが増えている。お客様に対応しているスタッフをねぎらう西田社長

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