2021-05-29

【株価はどう動く?】マネーバブル相場はここからが本番、株よりも暗号資産が買われる展開に

米国の株高と日本株のもたつき


 年初から本連載で指摘しているように、2021年の株式市場の特徴は20年2月のコロナショックから始まった世界的な大金融緩和によるマネーバブル相場の最初の年だということです。つまり、マネーバブルはまだ始まったばかりです。

 今、世間では「バブルの天井に近い」、「インフレリスクが懸念される」といった声が主流になっていますが、私の考えは違います。これから本格的にマネーバブル相場がやってくるのです。

 その理由は、足元でコロナ感染は日本でも、世界でも全く収まっていないことです。米国では相当数のワクチンが配布されたことで状況が改善されつつあるとはいうものの、全米での感染者数を見ると、簡単に収まるとは思えません。ひどい状況は欧州も同じで、さらに今後、新たな感染の波が到来する恐れもあります。

 ですから今年はもちろん、今後2、3年は日本、世界の実体経済悪は続くことが予想されます。なので、米バイデン政権が行っているように、日本でも引き続き金融緩和と景気対策を続けざるを得ません。そのためマネーバブル相場が継続することになります。

 日本の株価を見ていると、日経平均株価は3万円の水準で頭打ちになっており、2万9000円台で揉み合って、なかなか上に抜けてきません。一方、米国株はニューヨークダウが短期間のうちに新高値を更新してきています。

 日米の株価の動きが、なぜこんなにも違うか。それは日米の政府の動きが全く違うからです。米国はまず1兆9000億㌦(約200兆円)をバラまいています。さらに続いて4兆㌦の追加対策を実施するとしていますから、計約6兆㌦(約600兆円)の景気対策が行われます。

 対する日本はどうかというと、100兆円がせいぜいです。しかも動きが遅い。中産階級以下の方々の生活が困窮しているのが今ですから、本当であれば日本人全員に再び10万円、あるいは20万円の交付金を配布していなければならなかったと思います。ワクチンの流通も、先進国の中では最も遅いという状況になってしまっています。ですから株価がなかなか上がらない。今後も、米国株高と日本株のも
たつきは続くことになります。

 そして7月からは、おそらくオリンピックが無観客、もしくは入場者数を制限して開催されるものと思います。巨額の資金を投じて国立競技場などのインフラを整備してきましたが、もし開催されなければ無用の長物になってしまうからです。また、オリンピックを目指してきた選手達が目標を喪失してしまいますから、これは日本にとって大きな損失となります。

 予定通りならば、9月5日にパラリンピックが終了します。私はその直後にも解散総選挙が行われるのではないかと見ています。自民党、与党にとってはアゲンストの選挙となることが予想され、大勝利は見込めません。ただ、野党の状況を見ていると与党が負けることはないと思いますから、「どれだけ負けないか」という選挙になります。

 選挙後には自民党の総裁選が行われ、次に内閣改造という流れになりますが、9月の選挙までは日本の株価はもたもたすることになるでしょう。

 これを日柄、時間の波動から見ると、今年の高値は2月16日の3万714円、3月18日の3万485円で二番天井、ダブルトップを付けています。これが軽い調整ならば、ここから2、3カ月で終え、4月、5月で新高値を取りにいかなければいけないところですが、足元の株価の動きを見ると、そういう状況にはありません。

 その要因としては5月いっぱい、東京都などに緊急事態宣言が発令されていることから、経済活動が悪影響を受けていることがあります。7月のオリンピックで少しは活気づく可能性がありますが、いずれにせよこの間、米国株次第です。米国株が新高値をつけるようなことがあれば、日本の株価も連れ高で再び3万円台乗せ、新高値更新もあり得ますが、日本株自体には迫力がありません。

 ワクチンが早期に普及し、劇的に感染が抑えられるという状況にならなければ、日本の株価は当面頭打ちになるものと予想します。

 株価は先の業績を織り込んで上がりますが、業績面では日本企業に期待できません。そこで今の日本の個人マネーは株式よりもビットコイン、暗号資産に向かっています。

 ただ、ビットコインは足元で1ビットコイン約600万円となっており、個人には買いにくくなっています。そこで注目されているのがイーサリアムです。これが暗号資産市場を牽引するような状況になっており、この流れは、これまで価格が上昇してこなかった他のアルトコインにも波及していくかもしれません。

 ですから9月以降の株価上昇にも期待したいところですが、今年は株よりも暗号資産、ビットコイン、イーサリアムを買う展開になっています。暗号資産には業績見通しなどではなく需給だけで動くものですから、世界にあふれているマネーが向かう先になっています。ニューズウィーク日本版では4月13日号で「岐路のビットコイン」と題した特集を組んでいます。

 ビットコインの価格は昨年末から3倍以上になっています。そのため直近はビットコイン、イーサリアムも下落調整局面を迎えています。すでに日本の個人マネーもかなり暗号資産に入ってきています。暗号資産の押し目を買う動きも出てくるでしょう。株式投資のような知識が必要ないことも、暗号資産投資の特徴です。ただし、言うまでもなくハイリスク・ハイリターンです。

 株式市場では日経平均は当面3万円台で頭打ちで、個別物色相場が続くことが予想されます。その中では暗号資産のように需給がよく、特徴のある技術やサービスを持ち、業績のいい中小型の銘柄が買われる傾向が強まるのではないかと思っています。

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