2021-05-30

【農林水産省】自民党がコメの需要喚起へ プロジェクトチームの設置で対策を検討

自民党はこのほど、少子高齢化などで消費が鈍るコメの需要喚起策を話し合うため、プロジェクトチーム(PT)を設置した。これまで欠如していた「消費者目線」に立った議論を行い、ニーズのある輸出や商品開発などを支援する考え。6月にも対策をまとめる。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が相次いで発令される中、業務用米を中心に消費減少が続いている。2019年7月~20年6月のコメ需要は前年に比べて22万㌧減ったが、人口減少に加え、外食自粛の影響が響き、20年7月以降の1年間はさらに消費が停滞する可能性が高い。

 需要が鈍化している反面、21年産米の作付面積の抑制が思うように進まず、今以上にコメの在庫が増え続ける「蟻地獄」(自民党農林族議員)に陥るとの懸念が現実味を帯びつつある。

 農林水産省は農家や農業団体などに対し、引き続き21年産米の作付けを抑えるよう呼び掛けるとともに、輸出振興や国内外で人気の高いパックご飯の増産対策などに注力する。自民党はPTの提言にも輸出振興策などを盛り込む方針だ。

 ただ、こうした対策は中長期の需給均衡には役立つものの、目の前でたまり続ける在庫の解消にはつながらない。

 自民党PTでひねり出そうとしているのは、短期的な需要喚起策だ。生活困窮者にコメを無償配布するべきとの要望も一部議員から聞かれる。ただ、普段スーパーなどで買っているものが無償配布分と入れ替わるだけでは、「需要喚起には全くつながらない」(農水省幹部)ため、効果は限定的になりそうだ。

 コメ政策に明るい与党議員からも「消費喚起はできない」「和牛のように普段食べていない食材をもっと使う機会を増やすことはできるが、コメは主食なのでかなり難しい」などため息がもれている。今年は衆院選を控える中、与党が恐れるさらなるコメの価格低下は避けられそうにない情勢だ。

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事