2021-06-01

テクノスジャパン社長・吉岡隆が語る「日本企業のDX改革」

1994年の創業以来、ERP(基幹業務システム)の導入コンサルティングを手掛けてきたテクノスジャパン。近年はCRM(顧客管理システム)を第2の柱として成長してきた。そして現在、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)対応が求められる中、「企業向けのITビジネスは、産業政策上の重点領域になりうる」と語る吉岡氏である。

今までのコアビジネスに新たな柱を加えて



 ―― ERP(基幹業務システム)の導入コンサルティングを手掛けるテクノスジャパンですが、まずはIT業界から見た経済環境をどのように捉えていますか。

 吉岡 IT業界というのは大きく分けて二つありまして、一つはGAFAM(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)と呼ばれるようなBtoC(個人向け取引)に強みを持つ会社と、もう一つが独SAPや米セールスフォースのようなBtoB(企業間取引)に強みを持つ会社に分類されます。

 厳密にはアマゾンやマイクロソフトは両方に絡んでいたりもするんですが、われわれがやっているのは後者です。

 ―― BtoBの領域だということですね。

 吉岡 はい。SAPは企業の生産、購買、在庫などを網羅する統合基幹業務システム(ERP)の最大手ですし、セールスフォースはクラウド型の顧客管理システム(CRM)に強みを持つ企業でして、われわれはこのグローバルスタンダードになった2強の製品を担ぎながらビジネスをやらせていただいています。

BtoCのところはGAFAMの牙城をなかなか崩せないという感じなんですが、それに比べると、BtoBのIT化というのはまだまだ遅れているんです。そこに当社が成長する余地があるということですね。

 ―― もともとテクノスジャパンは、SAPのERP導入を支援することで成長してきたんですよね。

 吉岡 ええ。当社は1994年に創業しまして、基本的にはERPというソフトをお客様に納入するビジネスをずっとやってきました。その後、関西、沖縄、中部と日本各地にオフィスを拡大しながら、米国、カナダ、そして(開発の一部を海外に委ねる)オフショア開発の拠点としてインドへとネットワークを広げてきました。

 わたしが2017年に社長へ就任して以降、18年に米国とインドの会社を、そして20年に日本の会社を買収しまして、これは両方ともCRMの会社です。ここで今までのERPというコアビジネスにCRMをプラスすることで新しい提案ができるようになりました。

 おかげさまで、このコロナ禍においてもERPとCRMビジネスは順調に伸びています。

 ―― コロナ禍でも業績は堅調に推移していると。

 吉岡 ええ。日本全体を考えても、製造大国としての日本が今後成長するために、また、秋にはデジタル庁が設置されるという中で、行政サービスのDX(デジタルトランスフォーメーション)化で機運も高まっていますし、民間企業もデジタル化へ加速していくことが予測されます。

企業向けのITビジネスは、産業政策上の重点領域になりうると思いますので、当社がやろうとしている方向性は世の中の流れとも合致するものだと思っています。


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