「4大改革」の実行が新トップの役割
「デジタルが加速する中、人間の役割の再定義が迫られている。『人とデジタルの融合』は1つのキーワードになる」と話すのは、明治安田生命保険社長に内定した永島英器氏。
2021年5月18日、明治安田生命は8年ぶりの社長交代を発表した。7月2日の総代会と取締役会を経て、社長には常務執行役の永島氏が昇格、社長の根岸秋男氏は代表権のない会長、会長の鈴木伸弥氏は特別顧問となる。
永島氏は1963年2月東京都生まれ。86年東京大学法学部卒業後、明治生命保険(現・明治安田生命保険)入社。同社が起こした保険金不払い問題の際には群馬県で営業所長を務めており、顧客へのお詫び行脚をする日々。
「本社は何をやっているんだ」という思いも募ったが、同時に「現場の常識がお客様の期待や感覚とずれてしまった」と自省した。その後、企画部長、人事部長などを務め、根岸氏の下、経営方針策定や人事改革に取り組んできた。
根岸氏は、その不払い問題を受けて社内改革を実行。特に経営理念から見直し、「役職員の結集軸をつくった」(根岸氏)。また、米スタンコープ買収など海外事業、Jリーグのスポンサーなど地域貢献といった形で、活動の幅を広げてきた。
このタイミングの社長交代について根岸氏は「世代交代の大きな節目。情熱と実行力を持った若きリーダーに、新中期経営計画の完遂を期待する」とした。
明治安田は今、営業・サービス、基幹機能・事務、資産運用、相互会社経営という分野で「4大改革」を進めている最中。特に営業職員の販売奨励金廃止や、契約社員の正社員への登用といった改革は活動の根幹に関わるだけに永島氏も「何としても成功させる」と力を込める。
コロナ禍で、人と人の対面が制限される中で、生保の営業活動も苦戦を強いられている。その中でも「営業職員が基幹チャネルということは変わらない。その中で『人とデジタル』、『個人と法人』など『融合』をテーマに取り組んでいく」と永島氏。「合理性」と「情」を併せ持つと評される永島氏の実行力が今後、問われることになる。