2021-06-11

”ミドリムシに恋した男”ユーグレナ社長・出雲充の「脱・ミドリムシ」論

出雲充・ユーグレナ社長

目標とする年内のフライト実現に向けて



 ―― 長年、開発を続けてきた航空機向けのバイオジェット燃料がついに完成しましたね。

 出雲 ええ。これは本当に嬉しく思いますし、長い道のりだったと思います。

 2008年から当時の日立プラントテクノロジー(現・日立製作所)と新日本石油(現・ENEOS)と共同で、ユーグレナから抽出される油脂を使って国産のバイオ燃料をつくりたいと考え、研究・開発を進めてきました。

 本来であれば、昨年7月から東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということで、何としても開会式に間に合わせようという意気込みでやってきました。ところが、安定的に燃料を製造することの難しさや、新型コロナウイルスの感染拡大も影響して、正直、最後でこんなに苦労するとは思っていませんでした。

 それでもおかげさまで13年かかって、ここまで来ることができましたから、今は飛行機が飛ぶまで頑張り続けるしかないと考えています。

 ―― 13年はあっという間ですか。それとも、長かったですか?

 出雲 こんなにかかるのかというくらい長かったです。

 実はバイオジェット燃料というのは、「ASTM D7566」という国際規格がありまして、ユーグレナを含む微細藻類などの生物系油脂を原料とするバイオジェット燃料の製造技術が、世界で6番目の製造方法として認可を得ています。今回はそれに適合したバイオジェット燃料が完成したことになります。

 原料となるユーグレナや使用済み食用油の原材料である植物も成長過程で光合成によってCO2(二酸化炭素)を吸収するため、燃料を使用した際のCO2の排出量が実質的にはプラスマイナスゼロとなる「カーボンニュートラル」の実現に貢献すると期待されています。ですから、2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指す日本の国策とも合致しています。

 目標とする年内のフライト実現に向けて、早く航空会社さんや航空局などとの調整を進めていきたいと考えています。


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