2021-06-22

【エンタメから社会課題解決まで】DX時代、DeNA新社長・岡村信悟氏が目指す社会的役割

コロナ禍で新たなスポーツ観戦スタイルを提案 ©YDB


テクノロジーを活かした
〝公共の地場〟づくり

 岡村氏は16年4月の入社以降、主にスポーツ事業に携わり、横浜DeNAベイスターズや横浜スタジアム社長を務めてきた。その中で、岡村氏が打ち出したのが『横浜スポーツタウン構想』。

 スポーツをきっかけにエンタメ、観光、ビジネス、移住など、複合的機能を備えた都市空間づくりを目指すという構想だ。

 例えば、かつて関東財務局横浜財務事務所だった横浜市所有の赤レンガ造りの建物をベイスターズが賃貸し、野球をテーマにした飲食店やライフスタイルショップ、体験型スタジオ、シェアオフィスなどを運営。新たな価値創造に取り組んできた。

 また、スタジアムも野球の試合がない日にも人が集う開かれた場所に進化させてきた。

 その延長線として、現在、DeNAは『横浜市市庁舎跡地活用事業』に参画。三井不動産、東急、京浜急行電鉄と協業し、横浜市から約5000坪の土地を借り、高さ約170mのタワー棟、市庁舎建物を保存再生したホテル棟、多彩な商業施設が入る低層棟、そして駅前広場を整備する。完成は25年の予定。

 DeNAは「横浜を世界に誇るスポーツタウン」にすべく、ベンチャーと関内周辺エリアの地域課題を解決し、賑いを創出する事業の創出・推進役を担い、すでに3つのベンチャーを選定し、協業を開始している。

 また、DeNAは今年夏をめどに本社を『渋谷ヒカリエ』から『WeWork渋谷スクランブルスクエア』に移転。新たに横浜にも拠点を設ける。

「渋谷でいろいろなサービスが生まれているのと同じように、横浜でネット×リアルの新しいサービスをたくさん創出していく。それが横浜らしいスマートタウンになると思う」と岡村氏。

 総務省時代から「公共の地場をつくる」こと、世の中に必要とされる仕事をすることを重視してきた岡村氏。それは、活動の場が官界から民間に変わっても変わらない。

 岡村氏にとって、新規事業育成、働きやすい職場づくり、他社との協業、活気ある街づくり、これらすべて「公共の地場」づくりだ。

 会長の南場氏は経団連副会長に就任。変化が求められる中、日本を代表するベンチャーとして日本の競争力強化、世界における地位向上など、DeNAに期待されるものは大きい。

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