2021-07-06

【なぜ、日本は非常時対応が鈍いのか?】三菱総研理事長・小宮山 宏の「有事への対応は『自律 ・分散・協調』体制で」



なぜ医療崩壊なのか?

 感染症対策での伝統的手法は、まず検査は保健所が担当し、陽性反応が出れば、関連の法律に則って、当人を隔離、公的病院を主体に治療に当たるというやり方。もっと、民間の知恵や能力も活用し、公的病院と民間病院との連携も活用した方がいいという声は多い。

 国民1人当たりの病院施設は世界でもトップクラスなのに、なぜ医療崩壊を招くのか?

 日本は他の先進国と比べても医師が少ないとの指摘がある。確かに、人口1000人当たりの医師数は、日本は2・5人、ドイツの4・3人、フランスの3・0人、イギリスの3・0人と比べても低い。OECD(経済協力開発機構)の加盟国35加盟国中28位というポジション。

 医師や看護師などの医療従事者が少なく、ワクチン接種でも〝打ち手〟不足が問題となった。その中で医療従事者は懸命に働き、国内の接種も進む。その使命感溢れる姿には、国民も感謝している。

 要は、限られた医療資源を、非常時(有事)に際して、どう敏速に、効率良く活用していくかということ。日本には約8000の病院・診療所がある。そのうちの8割が民間病院。大事なのは、この民間病院と公的病院・保健所との連携をどう図るか─ということである。実践例はある。

本誌主幹・村田博文

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