自治体の業務最適化も 様々な形で個人の〝はたらく〟をサポートしているパーソルだが、もはや人材サービスだけではない側面も見せている。
その一例が、アウトソーシング事業。この事業は2015年の派遣法改正で同じ派遣先で働けるのは3年までという〝3年ルール〟ができ、派遣社員の雇用の受け皿として拡大してきた事業だ。
「われわれの社内で一定の業務処理をロボット化したものをアウトソーシングの現場でお客様に提案し、システムや業務そのものを変えて、最適化する支援もしています」
例えば、官公庁の手続き。
同じ手続きでも、処理の仕方は自治体ごとにバラバラになっている。その業務をパーソルが請け負うことで、事務作業を最適化し、申請から処理までの時間を短縮。さらに、できあがったシステムを他の自治体に横展開することで、全国の自治体の業務効率化につなげている。
こうして自治体の他、大学の奨学金申請や住宅ローン申請などでも手続きの効率化、スピード化に一役買っている。
パーソルは企業や働く人のデータだけでなく、アウトソーシング事業によって多くの業務データも保有している。
「各企業の業務データを持っているのでベストプラクティスとして横展開すれば業務処理を最適化でき、社員が本質的な業務に従事できるように支援できる」
企業が人を必要とする理由は様々。事業運営のためでも派遣、業務委託、正社員と様々な要望がある。また、人ではなく業務をまわすことが主軸ならば、アウトソーシングや繁忙期に合わせた派遣の活用など、必要とされるニーズも変わってくる。
和田氏は、そうした企業の課題に寄り添いながら「様々な提案ができることがパーソルの強み」と語る。
人材サービスからスタートしたパーソルだが、今や人材サービスだけでなく、「人の生産性」や「企業の業務生産性」を高める事業まで展開。
前社長で現会長の水田正道氏の時代に規模を拡大し、現在、パーソルHDは売上高9507億円、営業利益264億円。シンガポールや豪州の人材サービス企業を買収するなど、海外事業の足がかりも作った。
副社長として事業拡大を共に進めてきた和田氏だが、今後も方針は変えず「組織や事業を強靭化していくのがわたしの使命」と語る。
和田氏がテンプスタッフ(現パーソルHD)に転職したのは「起業の経験を積むため」だった。だが、社内で起業と同じ経験をさせてもらい「いろんな失敗をしても、創業者の篠原(欣子)は『事業を大きくするためにチャレンジして失敗をしたのなら、失敗は失敗として次につなげればいい』と言ってくれた。失敗に対する許容性があったからこそ、今のわたしがある。わたし自身も、そうした許容性を大事にしていきたい」と語る。
自らも『はたらいて、笑おう。』の精神で仕事をしてきた和田氏。
「世の中は変わります。人材派遣サービスが未来永劫あるとも限りません。不易流行で不易以外のものは変えていく」
変化に対応し、個人、企業との伴走で成長を目指す。
パーソルHD社長に副社長の和田氏が就任