2021-07-18

日本アクセスの〝情報卸〟構想 「食品だけでなく情報も卸す!」

2021年度では合計で10社の導入を目指すD&Sソリューションズの“情報卸”



食品流通の中間に立つ卸であるからこそできる!

 食品流通の中間に立つ卸であるからこそ、スーパーのPOSや在庫情報をメーカーに仲介したり、メーカーの商品情報をスーパーに橋渡しするといった、きめ細かな対応ができる。ネット時代に入り、卸は省かれる傾向にあるが、日本アクセスは子会社のD&Sソリューションズを通じて、情報を小売企業に提供する卸の側面をさらに強くする考えだ。

 望月氏は「小売り・メーカーの両方の役に立てなければ卸の存在価値はない」と役割を語る。導入事例は現在4社だが、導入企業では月間売り上げを1億円以上向上させた事例も出ている。

 同社は2020年11月にスーパーなど約5千店に需要予測や自動発注のシステムを提供するシノプスと提携。今後はスーパー各社の了承を得た上で、「どの商品がどれだけ売れているか」「在庫がどれくらいあるか」をリアルタイムで把握し、その状況が一目でわかる店舗をデジタル上で再現する構想も描く。情報を小売企業・メーカーと共有することによって需要に見合った生産計画を立て、「将来的
には物流の最適化にも貢献できる」とも望月氏は期待する。

 日本独自の存在である「食品卸」。数ある中小・中堅スーパーや食品メーカーが個別に商談や物流を担うのは困難であるからこそ、卸が発展した。だが今では大手の食品卸でも売上高営業利益率は1%を切るなど、付加価値をいかに高めるかが共通課題となっている。その中で日本アクセスは卸業界でも唯一、「情報卸」という新たな柱を育て始めており、価格だけではない対応を目指している。

 望月氏は「売上高2兆円を見込む卸業界のリーダーとして業界を変えなければならない」と話す。デフレの際たる業界である食品流通の世界で、情報に付加価値を置いた日本アクセスの〝情報卸〟構想と言える。

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