2021-08-04

【赤字転落から3年で再浮上】RIZAPグループ・瀬戸健の「人は変われる」経営哲学

瀬戸健・RIZAPグループ社長

「大赤字を出した後は、社員が僕の発言よりメディアを通じた情報を受け取っていたという感じがあった。上手くいっているときはこれで正しいと思えるが、悪くなると、やることなすこと間違えて見えるので、リーダーシップを発揮できず、一時的な混乱もありました」──。こう語るのはRIZAPグループ社長の瀬戸健氏。2018年度の最終赤字から、2期ぶりに営業黒字を達成。瀬戸氏の今、そして今後に向けた思いとは──。


「やっとスタートラインに」

「コロナ禍の影響で『RIZAP』も一時期、売上高が9割減、小売店も7割休業するなど、非常に厳しい状況に向き合わなければいけなかった。ただ、だからこそできることがあった」

 こう語るのはRIZAPグループ社長の瀬戸健(たけし)氏。

 RIZAPグループは2003年創業、06年5月札幌アンビシャス市場に上場。「結果を出すダイエットジム」として注目を集めた。

 2016〜17年には50社近い企業を買収し、M&Aで急成長したが、赤字企業の買収が多く、“負ののれん”計上で利益を稼ぐ経営が行き詰まり、18年度は売上高2225億円、営業赤字94億円、194億円の最終赤字に転落。そこから2年、21年3月期は売上高1696億円、営業利益12億円とコロナ禍の中、営業黒字を達成した。

 瀬戸氏は「やっとスタートラインに立ったところ。改善点は山ほどあるが、その意味では伸びしろがある。やるべきことは明確なので、そこにシフトしていく」と語る。

 黒字化の達成は、地道な取り組みの積み重ねによるものだ。

 主力の『RIZAP』事業では、いち早くトレーナーにPCR検査を実施するなどコロナ対応を徹底した他、体力や筋力増強、健康寿命の延伸を目的とするシニア層を開拓。

 小売事業でも「お客様が妥当と思われる価格にして、在庫は早い段階で売却していった」。

 また、戸建て住宅・リフォーム事業、フリーペーパー『ぱど』、出版社「日本文芸社」、アパレル「三鈴」など、グループシナジーを見込めない事業を売却。

 一方で、カジュアルウエアの「ジーンズメイト」、ゲームソフト販売などを手掛ける「ワンダーコーポレーション」、インテリア雑貨の「HAPiNS(ハピンズ)」の3社を束ねる共同持ち株会社「REXT」を今年4月に設立。リアルだけでなく、ECなど「バーチャルで訪れるお客様に万全の対応ができるよう」オンライン店舗にも力を入れる。

 そして、「断捨離。優先順位を決め、限られた予算の中でメリハリを付け、身の丈に合ったお金の使い方をしていった」。

 その結果、20年度の販管費は前年度比116億円削減。そこからできた資金を「未来のための投資の原資」にまわしている。

 例えば、非対面化の推進。「沖縄の人が“パーソナライズ化”で自分に合った北海道のトレーナーのレッスンを受けたり、優秀で人気のあるトレーナーが30人まとめてライブセッションをしたり、顔認証で無人店舗に入店し、店舗の大型モニターを見ながらパーソナライズ化したサービスを受けられるようにするなど、オンラインならではの最適化でお客様の満足度向上につなげていく」方針だ。

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