2021-08-20

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【PR】「シンガポールコンベンションウィーク 2021」開催決定。紛争解決メカニズムについて議論する法律とビジネスの専門家を募集中

シンガポールは、国際的な貿易・商取引の拠点として知られており、2019年8月7日には、国境を越えた取引の紛争解決手段である調停を後押しする「シンガポール調停条約(シンガポール条約)」の署名式典が開催された。

 シンガポール条約は2020年9月12日に発効し、国際的な調停による和解合意に関する国連条約としても知られている。この国際条約は、国境を越えた取引における商業上の紛争を解決する手段として、調停(裁判外紛争解決メカニズム)促進のための調和のとれた法的枠組みを提供するものだ。

 9月6日〜10日には、紛争解決の一連のイベント「シンガポールコンベンションウィーク(SCウィーク)」も開催。新型コロナ感染が続く中、世界中から参加者が集まり、世界をリードする学者、法律家、政府関係者、著名なビジネスリーダーと、紛争解決のトレンドやイノベーションについて学び、交流することは、このような移行と変化の時代において、国際的な貿易や商取引、ビジネスをより円滑にするためタイムリーに必要なことである。

 日本企業や法律の実務で活躍している方々、ビジネスエグゼクティブにもhttps://www.singaporeconventionweek.sg/からオンライン登録を呼びかけている。

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シンガポール条約のメリット

 新型コロナ感染症のパンデミックの影響で、企業間の衝突や紛争が生じる傾向にある。サプライチェーンなどの商業活動において、契約上の義務を果たすことができなかったことが考えられる。こうした紛争の解決手段として注目されている調停は、裁判や仲裁手続きなどとは異なり、当事者主導の解決策が得られ、全ての当事者にとって時間とコストが削減できる。また、和解的な性質上、事業の継続性や相手方との関係性の維持など商取引への影響や混乱が少なくてすむ側面もある。また、調停は訴訟や仲裁と併用することができるため、他の紛争解決手段を補完するものでもある。

 以前は、国際間の調停合意は契約上の拘束力があるだけで、当事者が任意履行を拒絶した場合直接強制履行できず、合意を執行するための枠組みがないことが課題だった。現在では、シンガポール条約により、そのための枠組みが用意されており、企業は、シンガポール条約の締約国において、このメカニズムを利用して調停済みの和解合意を執行することができる。

 昨年、シンガポール条約が発効した際、シンガポールのK・シャンムガム内務・法務大臣はこの条約が国際的な紛争解決執行の枠組みをさらに強化することになり、重要なマイルストーンとなると発言。「国境を越えた紛争をより確実に解決することで企業に利益をもたらし、最終的には国際貿易と商取引を促進するのだ」


日本との協力・連携強化

 同条約は、これまでに54カ国が署名、締約国は6カ国(シンガポール、フィジー、カタール、サウジアラビア、ベラルーシ、エクアドル)で、今後批准の動きが広がることも期待される。日本は署名していないが、日本企業にとっては、条約の下で、日本企業が持つオプションと、他国に所在する可能性のある当事者に対して調停合意を行使する可能性を認識しておきたい。特に、日本とシンガポールのように、国を跨いで企業が多額の投資を行っているような場合は重要だ。

 国際的な紛争解決のハブとしてのシンガポールは、紛争解決メカニズムとしての調停の促進を含め、諸外国との連携を加速させてきた。日本も例外ではなく、シンガポールは日本との貿易・商業上の強い結びつきがあるため、パートナーシップを強化している。

 最近21年7月には日本で、上川陽子法相とシンガポールのエドウィン・トン文化・地域・青年大臣兼第二法務大臣が、東京で、国際商事紛争解決をはじめとする両国の法務・司法分野での協力を強化する覚書(Memorandum of Cooperation, MOC)の署名・交換を行った。また、20年にはシンガポール国際調停センター(SIMC)と日本国際調停センター(JIMC)が国際商業紛争をオンライン調停によって迅速で経済的、効果的に解決することを目指す覚書「JIMC-SIMC Joint Covid-19 Protocol」に署名。国際的な紛争解決機関の間で交わされた初の新型コロナ(Covid-19)共同調停プロトコルであり、国境を超えたビジネスにオンライン調停という迅速かつ経済的という利点を提供する。このパンデミック時に非常にタイムリーな立ち上げで、両センターの迅速な調停提供への取り組みを示している。


日本企業にも呼びかけ

 シンガポール法務省(MinLaw)主催の「SCウィーク」は、バーチャルで9月6日〜10日に開催される。国際的な紛争解決シーンで活躍するトップレベルの実務家が集い、急速に変化するビジネスニーズに対応するための裁判外紛争解決の最新イノベーション、トレンドなど実践的な知見が得られる。9月7、8日にMinLawと国連国際商取引委員会(UNCITRAL)が共同で開催する「第一回UNCITRALアカデミー」は重要なハイライトで、シャンムガム大臣やトン大臣、UNCITRALのアンナ・ジュバン・ブレット事務局長など、著名なスピーカーやモデレータらも参加。このイベントでは20カ国から集まった40人以上の著名人による座談会やパネルディスカッションが行われる。

 SCウィークは現在、オンライン登録を受け付けており、完全なバーチャルイベント。イベントは全て英語で開催される。



シンガポール条約調印式2019の様子

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 新型コロナウイルスのパンデミックが国際的なビジネスに与える影響を考えると、今後、より多くの国際的な紛争解決に関わる組織が協力する機会があると考えられる。長年にわたり、シンガポールは国際的な紛争解決のハブとなってきた。今回、シンガポール条約が締結されたことで、その地位はさらに強化され、世界中の企業の国際貿易、商取引、ビジネスニーズをさらに促進する役割を果たしていくことになるだろう。

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UNCITRAL Academy
開催日:2021年9月7日~8日

プログラムや講演者の詳細、お申し込みについてはホームページをご覧ください。
https://www.singaporeconventionweek.sg/