2021-09-12

ミキハウスグループ代表・木村 皓一の「世界の子供に笑顔と安心を!」(第20回)

ミキハウスの肌着は赤ちゃんの着心地にとことんこだわった丁寧な縫製が特長



国内の縫製工場とは共存共栄に徹して



 このように、ベビーシューズの販売量が年間100万足。10余年経って、売価は倍になっている。それだけ商品の付加価値を上げてきたということ。

「だから、僕のところの縫製工場はやっていけるんです。来年6月まで仕事は満タン。もう追いつかないぐらい、注文をもらっています」と木村は言う。

 ミキハウスの肌着は赤ちゃんの着心地にこだわり、接(は)ぎ目のない脇、W字になった袖(赤ちゃんが両腕をまげた形)など立体的なパターンになっている。この複雑なパターンをきれいに仕立てるために、木村は工場の技術者と何度も何度も試行錯誤を繰り返してきた。縫い代のない肌着をフラットに縫うための特殊なミシンを使うにも熟練の技が必要である。

 ミキハウスと縫製工場は共存共栄の関係にある。共に生きていくには、消費者と接する立場にあるミキハウスにも、適正な価格で売っていくということが求められる。

 日本の流通業界では、昔から低価格販売で互いにシノギを削ってきたという流れがある。

 しかし、低価格販売だけでは、日本のモノづくりは廃れていくし、それは繊維産業、アパレル産業の歴史が証明している。

 ミキハウスが生産契約を結ぶ縫製企業は、九州や四国、兵庫、北陸などに広がり約20社。

「うちはモノづくりにしっかりと責任を持ち、使命感のある会社としか取引していません」

 木村はこう言いながら、「しっかりとした製品づくり、高品質な分、われわれも高い工賃を払うという関係です」と、双方のあるべき姿を強調する。

 価格競争ではなく、付加価値競争で環境変化を生き抜くという木村の決意である。

(敬称略、以下次号)

Pick up注目の記事

Related関連記事

Ranking人気記事