2021-09-13

【財務省】個人消費は2四半期ぶりプラスも コロナによる下振れを懸念

「いろいろな政策があり、結果として効果が上がっている」。麻生太郎財務相は8月20日の閣議後会見でこう胸を張った。

 会見に先立つ16日、内閣府が公表した2021年4─6月期実質国内総生産(GDP、速報値)は年率換算で1・3%のプラス成長になった。過半を占める個人消費が2四半期ぶりにプラスに転じ、好調な企業業績に伴う設備投資の伸長で事前の民間予測を上回った。新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う経済の下押しが続く中で明るいニュースだ。

 日本経済は欧米に比べて回復が遅れているとの指摘がある中、麻生氏は20日の会見で国内景気見通しについて「ワクチンが決め手ではないか。ロックダウン(都市封鎖)した国でも感染者は増えている」と説明。一方で、「コロナには下振れはリスクはある。注意深くみておく」とも指摘。経済対策に関しては「資金、予算配分をまたやらないといけない」と述べ、大規模な財政出動も辞さない考えをにじませた。

 新型コロナの感染拡大で、8月末締め切りの2022年度予算案の概算要求は一般会計の総額で110兆円規模となり4年連続で過去最大を更新するのは確実で、歳出改革の機運は「当面は絶望的」(主計局)な状況。

 約5兆円を計上した21年度予備費も8月27日の追加決定分を含めすでに半分程度消化することになる。横浜市長選で自民党系候補が惨敗し菅義偉政権の求心力は低下しており、「カネに糸目をつけている場合ではない」(閣僚経験者)状況を受け、経済対策は30兆円超となるのは織り込み済みだ。

 9月に行われる自民党総裁選で仮に菅首相が負け、首相が交代しても新政権は新型コロナ対応に集中する必要があり、歳出改革の機運は期待薄だろう。総裁選と衆院選の結果次第では麻生氏の財務相交代の可能性もあるが、本格的な財政再建の時期は見通せないままだ。

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