2021-09-12

【国土交通省】駅ホームの段差解消を推進 求められる鉄道事業者の連携

国土交通省は東京パラリンピックに向けて、駅ホームと車両の段差・隙間を小さくする取り組みを推進してきた。車いす利用者が駅員らの介助なしで単独で乗り降りできるようにするのが目的。同省が段差・隙間の目安値を設定したことで、鉄道各社の対策が加速した。

 車いすが単独で乗り降りするには、ホームの乗車口付近をスロープ状にかさ上げして車両の床面となるべく同じ高さにし、車両との間にゴムを取り付け、隙間を狭める必要がある。沖縄都市モノレールや大阪メトロが先行して採用した。

 同省は2018年、この方式を広めるため、車いす利用者23人を対象とした乗り降りの実証実験を行った。車両とホームが接触しないよう安全性を確保した上で、約9割の車いす利用者が乗り降りできた「段差3㌢、隙間7㌢」を目安値に設定。この結果、ホームが直線であるなど条件が整っている全国1290駅のうち、目安値を満たしたのは20年10月時点で623駅に到達。今年6月には東海道新幹線の東京駅でも導入された。

 東京メトロの霞ケ関駅で、対策された乗車口を視察した赤羽一嘉国交相は「設備投資もそんなに過大にならないと思うし、健常者のわれわれもつまずきがない。大変いい取り組みだ」と強調した。

 ただ、段差の解消には課題も残る。これまでは主に直線のホームを対象に取り組みを進めてきたが、曲線状のホームで対策を取るのは難しいのが現状。また、都市部などで複数の事業者が乗り入れている路線では、事業者ごとに車両の床面の高さが異なり、段差が大きくなるケースがある。

 同省の関係者は「ホームの高さをいずれかの路線の車両に合わせるなど、事業者同士の連携が必要だ」と、より良い環境整備を見据えていた。

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