2021-09-13

【経済産業省】IT人材の育成で新たなプラットフォーム設立を検討

経済産業省は不足するIT人材の確保に向け、新たな育成プラットフォームの設立を検討している。専用サイトを立ち上げ、社会人などがオンライン講座で学び直しを行うことでIT人材への転換やスキル向上を図る。背景にあるのは同省が旗振り役を務める日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進も、IT人材が足りなければ掛け声倒れに終わるとの危機感からだ。関連予算を2022年度当初予算案に盛り込む方針だ。

 国内のIT人材不足は深刻さを増している。企業側の需要が増え続ける一方で人材の供給は追いついておらず、経産省などが19年に公表した調査結果では30年までに45万人の不足が発生すると予想している。総務省が今年7月に公表した21年版情報通信白書では、日本でDXが進まない理由を調査したところ人材不足を挙げる企業が53.1%と最多だった。

 経産省はDXについて早くから警鐘を鳴らしており、18年には企業が古いシステムの刷新を行わなければ25年以降に日本全体で年間最大12兆円の経済損失が発生する「2025年の崖」問題を指摘。ある幹部は「IT人材不足が(今後の日本経済の)最大のリスクになり得る」と危機感を露わにする。

 プラットフォームは22年度中の稼働を目指す。専用サイトにIT企業の他、公的機関や大学などがオンライン講座を提供し、利用者は身につけたいスキルを選んで学習する。学生ももちろん利用できるが、狙いを定めているのはすでに働いている社会人。IT企業の社員が人工知能(AI)など新しい技術を身に着けてスキルを更に高めたり、営業職などが基本的な技術を身に着けてIT人材に転換したりするよう効果を期待する。

 また、IT人材の確保が難しい地方の自治体や企業の課題を解決するプロジェクトにも参加できるようにし、培った技術を生かした実地研修などの機会も提供する考えだ。

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