2021-09-15

休日・夜間の患者と医師をマッチング 『コールドクター』の“現代版往診”ビジネス



「医師のウーバー版ができないか」

 一方で医師にとってのメリットとは何か──。中原氏は「隙間時間に働いてもらえること」を挙げる。そのため、診療以外の業務はコールドクター側が担う。患者からの問い合わせには、同社に所属するコールセンターのスタッフが対応する。

 しかし、患者宅まで医師自ら車を運転するわけではない。車を運転するのは各医療機関所属の専属ドライバー。そのため、医師は自分がいる医療機関や自宅で待機し、各医療機関が手配した車に乗って患者宅に向かうだけとなる。このドライバーも「タクシードライバーの経験者が応募してくる」(同)。他にはカルテの入力なども同社が代行している。

 コールドクターに登録している医師は30代~40代が多い。「少しでも人命を救いたい医師や往診を重ねて診療経験を磨きたい医師、収入を増やしたい医師などが多い」と同氏は語る。研修を終えたばかりの医師などは収入の面で厳しい環境に置かれているのも事実。医師の副収入源にもなっているのだ。

 そんな同社を起業した中原氏はサイバーエージェントの出身。同社で「マッチングアプリのチームでマーケティングなどに携わっていた」(同)。そんな中、医師になった高校時代の同級生を通じて、救急医療の現場が過度な救急車の利用によって医療従事者の負担の大きさを知る。

 加えて需要があることも実感し、「医師のウーバー版のようなものができないか」と起業した。コールドクターのアプリが患者や医師などにとって使いやすくなっているのはサイバーエージェントでの経験が生きている。

 今後は時間外の医療をベースとしたプラットフォームを構築していく考え。また、オンライン診療を既に行っているが、それに合わせたドローンでの薬の輸送も視野に入れる。IT企業の新たな知恵で医療現場の負担を軽減させる取り組みとなるか医療関係者からの視線は熱い。

なぜ「松本モデル」はうまく機能しているのか?【日本病院会:相澤孝夫会長】

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